2018年12月22日土曜日

(1456)  スピノザ「エチカ」(4-2) / 100分de名著

 
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(K0597) 「誰もが暮らしやすいまち」 (2) 「お手伝い3点セット」 <地域の再構築>
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第4回  24日放送/ 26日再放送


  タイトル:自由
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 


【テキストの項目】

(1)  現代を決定づけた時代
(2)  真理の基準は真理自体である
(3)  真理は自分でつかみ取れ――デカルトとの違い

(4)  「主体の変容」が自分を高める
(5)  AIと現代社会
(6)  哲学を学ぶとは
 

【展開】

(1)  現代を決定づけた時代
(2)  真理の基準は真理自体である
(3)  真理は自分でつかみ取れ――デカルトとの違い

以上は、既に書きました。
 

(4)  「主体の変容」が自分を高める

   エヴィデンスを出すことも、公的に証明することもほぼ不可能
 「人は自らの力を十分に表現するように行為している時に能動的だ」「自分とうまく組み合うものと出会った時、人はその活動能力を増大させる」とスピノザは言っているが、そのエヴィデンスを出すことも、それを公的に証明することもほぼ不可能と思われます。
 
   近代科学の限界
 近代科学はとても大切です。ただ、それが扱える範囲はとても限られています。近代科学では、たとえば、スピノザの考える表現の概念は扱うことはできません。しかし、スピノザの概念がないと、先に挙げたカツアゲの状況をうまく説明できません。科学の扱える範囲に限界があることも知っておく必要があります。
 
   ミシェル・フーコーの指摘
 フーコーは、スピノザには「主体の変容」の必要性という考え方が残っていると指摘しました(添付図参照)。ある真理に到達するためには、主体が変容を遂げ、いわばレベルアップしなければいけません。
 

(5)  AIと現代社会

   AIに知性はない
 AIは単に一定のアルゴリズムで大量の情報を処理しているだけで、知性とは関係ありません。
 
   創造力より想像力が難しい
 人間の知性の重要な機能に創造力と想像力(イマジネーション)があります。適当に情報を組み合わせるだけでも何かを作り出す、つまり創造することはできます。一方、想像力には他者感覚(相手が自分と同じような存在であるという感覚)が必要ですが、そもそもAIには「自分」がないので、他者感覚をもちえません。
 
   人間がAIに近づく危惧
 私(著者)はAIが人間に近づくことではなく、人間がAIに近づくことを危惧しています。
 現代社会はマニュアル化が進み、人間そのものが一つのアルゴリズムのように扱われ、そのことは、いくらでも取り替えがきく存在として扱われることを意味します。
 
   スピノザ哲学の役割
 スピノザのさまざまな概念、すなわち、組み合わせとしての善悪、力としての本質、必然性としての自由、力の表現としての能動、主体の変容をもたらす真理の獲得、認識する力の認識 … 、これらの概念を知るだけでも、この社会の問題点を理解するヒントになるはずです。
 

(6)  哲学を学ぶとは

 哲学を学ぶ際に一番重要なのは、哲学者が作り出した概念を体得し、それをうまく使いこなせるようになることです。たとえば、組み合わせとしての善悪の概念を使って物事を判断できるようになる。必然性としての自由の概念から教育について考えてみる。そんな風にして概念を使いこなせるようになることこそ、哲学を学び、哲学を身につけることなのです。
 

<出典>
國分功一郎(2018/12)、スピノザ「エチカ」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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