2018年12月17日月曜日

(1452)  (37)北沢楽天『東京パック』 / 「明治の50冊」

 
      最新投稿情報
=====
(K0593)  個人Blog 12月上旬リスト <サイト紹介>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/12/k0593-blog.html
=====
 

A)   東京パック
(1)  漫画雑誌の先駆け
(2)  全ページがカラー印刷
(3)  中身は風刺画が多い
(4)  好意的に受け止められた
 
B)   北沢楽天
(1)  近代日本漫画の祖
(2)  風刺画に西洋の描法を取り入れた
(3)  漫画に芸術性を取り入れた
(4)  職業漫画家の第一号
(5)  描き手の育成に努めた
(6)  来年には、映画が公開される
 

【展開】
 
A)   東京パック

(1)  漫画雑誌の先駆け
 世界からも注目される漫画文化を長年育んできた漫画雑誌。その先駆けといえるのが、日本で初めてのカラー漫画雑誌「東京パック」だ。主筆は「近代日本漫画の祖」と呼ばれる北沢楽天。

(2)  全ページがカラー印刷
 同誌は明治38年に創刊。最大の特徴は、全ページがカラー印刷だったことだ。 … B4変形判の大きさで色鮮やかに描かれた同誌の絵は、すぐに多くの人の心をとらえた。

(3)  中身は風刺画が多い
 創刊号の表紙のタイトルは「露帝噬臍(ぜいせい)の悔」。日露戦争の際、日本の実力を見誤ったロシア皇帝、ニコライ2世が臍(ほぞ)をかんで悔しがる様子を描いた絵だ。

(4)  好意的に受け止められた
 読者からは好意的に受け止められ、月1回だった発行回数は2年後には月3回に増加。「大阪パック」などの“姉妹誌”も相次ぎ創刊された。
 

B)   北沢楽天

(1)  近代日本漫画の祖
 「東京パック」の主筆は「近代日本漫画の祖」と呼ばれる北沢楽天。
 「楽天の名前を知らない人は多いと思います。ですが、今皆さんが新聞や雑誌などで目にする漫画は、元をたどれば楽天の漫画に通じています」

(2)  風刺画に西洋の描法を取り入れた
 楽天が画期的だったのは、風刺画に西洋の描法を取り入れた点だ。 … 西洋の画風と巧みな風刺を自身の絵に導入。当時ポンチ絵やおどけ絵と呼ばれ、低く見られる存在だった風刺絵を、大人から子供まで楽しめる「漫画」へと発展させた。

(3)  漫画に芸術性を取り入れた
 「それまでの風刺画には下卑(げび)た笑いの絵も多かった。漫画に芸術性を取り入れたことも楽天の功績です」

(4)  職業漫画家の第一号
 「楽天は『漫画で食っていく』モデルを初めて世に示した人物。彼がいたから多くの人が漫画への道を志した …」

(5)  描き手の育成に努めた
 後の日本画の大家、川端龍子(りゅうし)や日本のアニメーションの先駆者である下川凹天(へこてん)。戦後漫画の第一人者である手塚治虫も、幼少期に刊行された楽天全集を読み、影響を受けたという。

(6)  来年には、映画が公開される
 来年には、楽天を主人公とした映画「漫画誕生」(大木萌監督、イッセー尾形主演)が公開予定となるなど、再び楽天の先進性に脚光が当たりつつある。
 

【プロフィル】北沢楽天(きたざわ・らくてん)
 明治9年、東京生まれ。本名は保次(やすじ)。28年に入社した横浜の英字新聞社で西洋漫画の描法を学ぶ。32年、時事新報に転じ、漫画記者として「時事漫画」などを手掛けた。38年、「東京パック」を創刊。退職後も多くの後進漫画家を育てた。昭和30年、79歳で死去。
 

<引用>
北沢楽天『東京パック』 日本の大衆漫画雑誌の原点
【明治の50冊】(37) 産経新聞(2018/11/26)
 
(37)北沢楽天『東京パック』 日本の大衆漫画雑誌の原点
https://www.sankei.com/life/news/181126/lif1811260011-n1.html

0 件のコメント:

コメントを投稿