2018年9月29日土曜日

(1375)  モンゴメリ「赤毛のアン」(1-2)(解説1) / 100分de名著

 
      最新投稿情報
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(K0516)  保健・介護予防の一体化 <体の健康><介護>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/09/k0516.html
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第1回  1日放送/ 3日再放送
  タイトル: 想像力の翼を広げて
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 


ここでは、5個のテーマを取り上げます。
 
A)  感激する力
B)  マシュウの変化(重要かつ感動的な転換)
C)  想定外のことを受け入れる
D)  想像の余地
E)  名前をつけたがる習性
 


【展開】
 
A)  感激する力

===== 引用はじめ

 … 少女はささやきます。「木々が眠りながらお話ししているのを、聞いてごらんなさい(略)きっとすてきな夢を見ているにちがいないわ」
 … (リンド)夫人にとってはつまらない景色でも、この少女にとってはこのうえなく魅力的な場所であることがわかります。それを可能にしているのは、少女の「感激する力」です。何気ないものにも心を動かし、そこに意味を与えられずにいられない、人間の根源的な衝動にしたがう。そんな少女の個性が見えてくる場面だと思います。
===== 引用おわり

 毎日つまらない日々を送っていると思うのは、そこにつまらない日々があるのではなく、この「感激する力」が弱まっていることによるのかもしれません。優れた和歌に接するとき、そのように思うことがあります。何事でもない日常から、素晴らしいものを発見して、切り取ったのだと思います。
 

B)  マシュウの変化(重要かつ感動的な転換)

(K0514)  定年後の四つの可能性 <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/09/k0514.html
で取り上げました。
 

C)  想定外のことを受け入れる

===== 引用はじめ
 (アンがめでたく「グリン・ゲイブルズ(切妻屋根)のアン=原作の題名」になったことは)孤児のアンにとっては大きな変化ですが、偶然の子を受け入れたマシュウとマリラにとっても、これは想定外のことだったと言えるでしょう。人間は想定外のことを受け入れて、自分の意図を超えた流れに身を投じることで、成長をとげていく。そうした主題が表現されている部分だと思います。
===== 引用おわり

 自分の人生を振り返ると、すごく当たっているように思います。自分の成長を意識して自分の環境を整えてきましたが、そうでない環境にいきなり放り込まれてしまう。そこで悪戦苦闘し、なんとか解決し、気づくと自分が成長していたということです。
 ジョン・D.・クランボルツ教授の「プランドハプンスタンス」(キャリアは偶然の出来事、予期せぬ出来事に対し、最善を尽くし対応することを積み重ねることで形成される)も同じような考えだと思います。
https://kotobank.jp/word/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8F%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B9-1125685

 アンだけではなく、マシュウもマリラも成長していきました。
 

D)  想像の余地

===== 引用はじめ
 しきりと「想像の余地」という言葉を口にしますが、想像を働かせることができる場所ならば楽しい空間に変えることができるのです。ブライト・リバーの駅で迎えが来なくて不安だった時も、桜の木に登って花の中で眠るのは素敵だわ、と想像することで楽しく待つことができました。
===== 引用おわり

 楽しい想像をする人、辛い想像をする人、想像しない人、の三種類に分けられるのではないでしょうか。楽しい想像をするか辛い想像をするかは、人により、ほぼ自動的に決まるように思います。アンは楽しい想像をする名人であり、パレアナ(ポリアンナ)もその仲間でしょう。辛い人生を送ったが故に、楽しい想像をする力が養われたような気がします。
 

E)  名前をつけたがる習性

===== 引用はじめ
 アンの特徴のひとつに「歓喜の白路」「輝く湖水」「雪の女王」「ボニー」などと、なんにでも名前をつけたがる習性がありますが、気に入ったすてきなものに想像力で肉づけをし、さらに自分で名づけをすることで、それがアン自身のもの、アンの世界に属する一員のように感じられるのかもしれません。
===== 引用おわり

 名前をつけるということは、したことがないが、良い事のように思いました。しかし「気に入ったすてきなもの」を見つけ、「想像力で肉づけ」をし、「自分で名づけ」をすること、三つとも難しそうです。
 目の前の一つ一つの景色、一つ一つの出来事、一人一人との出会い、それらを惰性の中に流してしまわないようにするのは、「名前をつける」効用の一つだと思います。
 


<出典>
茂木健一郎(2018/10)、モンゴメリ「赤毛のアン」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付写真は、この本からの転載


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