2018年8月12日日曜日

(1325)  コンラート・ローレンツ『ソロモンの指輪』(2) / 100分de名著

 
(1325)  コンラート・ローレンツ『ソロモンの指輪』(2) / 100de名著
 

      最新投稿情報
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(K0466)  高齢者を描くコミック <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/08/k0466.html
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第2回  13日放送/ 15日再放送
  コンラート・ローレンツ『ソロモンの指輪』  科学の本は面白い!
  瀬名秀明(作家)
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
(16日午後6:55-7:20にも再放送の予定)
 

【展開】
(1)  ソロモンは、指輪がないと動物と話せなかった
(2)  刷りこみ
(3)  擬人化
(4)  ステレオタイプ(紋切型)のキャラクター
(5)  仲間を傷つけ苛むことを妨げる抑制
(6)  勝利者の社会的抑制に呼びかける服従の態度
(7)  信頼しきっているということ
(8)  いわゆる悪
 

【展開】

(1)  ソロモンは、指輪がないと動物と話せなかった

 ローレンツは「私は、自分のよく知っている動物となら、魔法の指輪などなくても話ができる。この点では、私の方がソロモンより一枚うわてである」と豪語する。
 実際にローレンツは、「ハイイロガン語」の音節の数や高低や速さやアクセントや発声の微妙な違いを聞き分けられるようになり、自分でもそれを操れるようになった。「飛び立つよ」「飛ばないで歩くよ」を聞きまた伝えることができるようになった。
 ソロモンは、旧約聖書に登場する、古代イスラエルの三代目の王様であり、魔法の指輪をつけると、あらゆる動物のことばがわかり、動物たちと話ができたという。
 

(2)  刷りこみ

 刷りこみとは、鳥のヒナがごく短い一瞬の時間でおこない、それが長時間持続する学習現象である。たとえば人工的に孵化させた卵から生まれたガンの子が、最初に見たローレンツを親鳥だと思い込んでしまう。
 

(3)  擬人化

 動物を「擬人化」しているのではないか、という批判にさらされたローレンツは「動物の擬人化とは逆に、そもそも動物的な性質が人間の中に残っている」といいました。「私はけっして擬人化しているわけではない。いわゆるあまりに人間的なものは、(略)われわれにも高等動物にも共通に存在するものだ、ということを理解してもらいたい」
 

(4)  ステレオタイプ(紋切型)のキャラクター

 「平和的」だと思われているハトは、じつは意外にも残忍な恐ろしい一面をもっています。ある日、オスのキジバトとメスのジュズカケバトを同じ籠に入れたま町へ出かけたローレンツは、家に帰ってぞっとします。…
 逆に、獰猛な肉食獣であり、悪役にされることの多いオオカミには、意外な発見がありました。勝者にのしかかられた敗者のオオカミは、相手の鋭い牙の下に自分の急所である首筋をさしだします。すると勝ったほうのオオカミは、降伏した相手にけっしてかみつくことができないのです。
 

(5)  仲間を傷つけ苛むことを妨げる抑制

 これはオオカミのような強い武器をもつ動物が、同類同士の攻撃行動において、抑制的な働きを生まれつきもっていることを示しています。ハトのような「平和的な」草食動物には、かえって、「仲間を傷つけ苛むことを妨げる抑制が欠けている」とローレンツはいいます。
 

(6)  勝利者の社会的抑制に呼びかける服従の態度

 ある種の動物において、「勝利者の社会的抑制に呼びかける服従の態度」には共通性があり、「情けを乞うほうの個体は、攻撃者に向かってつねに彼の体のもっとも弱い部分」を差し出します。ローレンツは「このような服従の身振りが、固定した本能的なものであり、かつ長い進化の産物である」ことに、注意を促しています。
 

(7)  信頼しきっているということ

 オオカミがかみつけないということを、私は感動的ですばらしいことだと思う。だが相手がそれに信頼しきっているということは、それにもましてすばらしいことではないだろうか。一匹の動物が、自分命を相手の騎士道的な作法に託すのだ! ここにはわれわれ人間の学ぶべきことがある。
 

(8)  いわゆる悪

 のちの『攻撃――悪の自然誌』(1963)という本でも、ローレンツはこのテーマを再び取り上げ、動物の攻撃行動の研究から、戦争や大量虐殺や核兵器の使用にまでいたる、人間の文明社会の「いわゆる悪」(これが原題です)へと考察を広げていきます。
 


出典
(2018/8)、「for ティーンズ」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付の「作者紹介」は、この本から。


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