2018年8月11日土曜日

(1324)  コンラート・ローレンツ『ソロモンの指輪』(1) / 100分de名著

 
      最新投稿情報
=====
(K0465)  衰える容姿に涙 <その他>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/08/k0465.html
=====
 


第2回  13日放送/ 15日再放送
     (16日午後6:55-7:20にも再放送の予定)

  コンラート・ローレンツ『ソロモンの指輪』  科学の本は面白い!
  瀬名秀明(作家)
 
A)   簡単な紹介
B)   このテキストの目次
C)   逆引き
D)   私にとっての魅力
 

【展開】

A)   簡単な紹介

===== 引用はじめ
 「刷りこみ」現象の発見で有名なオーストリアの動物行動学者、ローレンツによるエッセイ。「動物行動学入門」というだけあって、ジャンル的には科学エッセイという感じだけれど、難しいところはまったくない。ローレンツの筆致は動物に対する興味と愛情と尊敬の念とに溢れており、動物好きな人とか、ファーブル昆虫記が好きな人ならきっとたのしく読めるに違いない一冊になっている。随所に岩波少年文庫風のイラストが収められているのも、キュートで――これは小難しい本じゃないんですよ、と言っているような感じで――よい。
 ローレンツは、動物たちと文字通り寝食を共にしながら(家のなかで大量の動物が放し飼いになっている)、彼らの行動を熱心に観察し続け、その意味するところを読み解こうと奮闘していく。とくに、ローレンツと動物たちとが「心を通わせる」エピソードなんかは、ごく単純に読みものとしてたのしくて、ぐっとくるようなところがある。…
===== 引用おわり
http://hayamonogurai.net/archives/2948
 

B)   このテキストの目次

(1)  「私はここよ、あなたはどこ?」
(2)  「生きものの美しさへのつきぬ喜び」
(3)   アクアリウムの世界――愛と攻撃のかたち
(4)   コクマルガラスの恋愛ドラマ
(5)  「刷りこみ」――ハイイロガンの子マルティナ
(6)   モラルと武器――動物から人間へ
 

C)   逆引き

第1章「動物たちへの忿懣」
 両親や奥さんの我慢強さ → (2)

第5章「永遠にかなわぬ友」
 コクマルガラス、略奪婚 → (4)

第7章「ガンの子マルティナ」
 刷りこみ → (2)(5)
 ハイイロガン語 → (5)
 「わたしはここよ、あなたはどこ?」 → (1)(5)

第11章「動物たちを笑う」
 マガモ語 → (5)
 

D)   私にとっての魅力

 私が強く影響を受けた本として、大学時代に「世界の名著」で読んだ、フロイト「精神分析入門」とダーウィン「種の起源」がある。共通点は、これまで無かった新しいジャンルを切り開いたこと。科学的であると同時に、影響が科学の枠を超えていること。当時出会わなかったが、コンラート・ローレンツ「ソロモンの指輪」も同じ位置にある。
 ローレンツは、「動物行動学」という学問を確立した。ノーベル医学生理学賞は本来「人間の病気や体の働きなどを解明した人」に贈られるものであるが、1973年にローレンツは受賞した。動物の社会行動や学習行動の研究が、人間の社会や生活を新しい視点で見ることを可能にする、すなわち人間にも役立つ重要な学問として高く評価されたのだろう。
 軍医だったローレンツは、大戦が終わった45年から48年までソ連で捕虜になった後、新しいことに取り組んだ。医学と哲学の両分野で博士号を取得しながらも、学者として「動物行動学」という新しい学問の分野を生み出していった。ちなみに、お父さんは「整形外科」という医学の分野をはじめてつくり、ノーベル賞をもらう寸前にまで至った人だった。
 


出典
(2018/8)、「for ティーンズ」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付は、この本から


0 件のコメント:

コメントを投稿