2018年7月4日水曜日

(1289)  (19) 内村鑑三『代表的日本人』 / 「明治の50冊」

 
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 「代表的日本人」とは、どのような本か

(1)  5人の評伝が収められている本である

(2)  日本人の美点に目を向けた本である

(3)  「代表的な日本人」を描いた本である

(4)  日本の若い知識層を読者として想定した本である

(5)  西洋文明を批判し、それを安易に受容する日本人へ警告する本である

(6)  普遍的な「天」を想定した本である

(7)  今に通じる道徳を示した本である

 

【展開】
 
(1)  5人の評伝が収められている本である

 5人の評伝が収められている。西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮
   西郷の言葉:〈文明とは正義のひろく行われることである。豪壮な邸宅、衣服の華美、外観の壮麗ではない)
   鷹山が行った社会改革の美点:〈家臣を有徳な人間に育てることに置いたところ〉
   尊徳の「仁術」や「道徳心」:〈舶来の「最大多数の最大幸福の思想」に、まだ侵されていない真正の日本人があった〉
 

(2)  日本人の美点に目を向けた本である

 〈わが国に対する愛着はまったくさめているものの、わが国民の持つ多くの美点に、私は目を閉ざしていることはできません〉
 

(3)  「代表的な日本人」を描いた本である

 日清戦争中の明治27年に『日本及び日本人』として刊行された本を、41年に改訂再版するとき、内村は『代表的日本人』と題名を変えた。
 無私の精神を貫き、世の中に尽くした希有(けう)な偉人を「代表的」と呼んだことに、願いがこめられているようでもある。
 

(4)  日本の若い知識層を読者として想定した本である

 原文が英語で書かれているので、新渡戸稲造の『武士道』、岡倉天心の『茶の本』と並べられることが多いが、日本文化の発信を目的にアメリカで出版された2冊とは少し性格が異なる。刊行は民友社。国内向けだった。
 「もちろん外国人にも…とは思っていたでしょうが、当時の学生は英語も当たり前に読めた。想定していた読者は日本の若い知識層だった」(内村の研究者で岩波文庫版の翻訳者でもある鈴木範久さん(立教大名誉教授))
 

(5)  西洋文明を批判し、それを安易に受容する日本人へ警告する本である

 「西洋からいろいろなものを取り入れていた時代に、日本の中にも良いものはある、こういう日本人であってほしいという願いが感じられる」(鈴木)
 

(6)  普遍的な「天」を想定した本である

 印象に残るのは「天」という言葉だ。「敬天愛人」「天意」「天道」「天の法」…各章で繰り返し強調される。内村はキリスト教信者だが、神仏を超えた、もっと普遍的なものとして「天」を想定している。
 

(7)  今に通じる道徳を示した本である

 現在も「道徳教育は、これ1冊をやっておけば十分」などとたたえる読者カードが届くそうだ。鈴木さんは言う。「時代を超えて通用するし、広がりがある。いま読んでも何の不自然さもない」
 
 

【プロフィル】内村鑑三(うちむら・かんぞう)

 万延2(1861)年、江戸生まれ。札幌農学校時代にキリスト教信者となる。思想家、著述家として活動。既成の教派にとらわれない「無教会主義」を提唱した。日露戦争では非戦論を唱えた。著書に『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』『求安録』など。昭和5年、69歳で死去。
 
 

<引用>

内村鑑三「代表的日本人」 / 若い知識層に説いた「天」
【明治の50冊】(19) 産経新聞(2018/07/02)
 
(19)内村鑑三「代表的日本人」 若い知識層に説いた「天」
https://www.sankei.com/life/news/180618/lif1806180017-n1.html
(添付写真はこのサイトから転載)


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