2018年2月24日土曜日

(1159)  炸裂する映画的想像力・終結 /ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』 (4)

 
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第4回 2月26日放送/2月28日再放送
月曜日   午後 10:25~10:50

()水曜日 午前 05:30~05:55
      午後 00:00~00:25




【第4回 目次】 炸裂する映画的想像力

1.       映画を先取りした小説

2.       ノートルダム襲撃と革命の光景

3.      「光と闇」のテーマ

4.       母と娘の物語

5.      「父親殺し」の物語

6.       愛の連鎖
 
 


映画を先取りした小説

===== 引用はじめ
 ユゴーの時代には映画まだ存在していません。ところが…、クロードが大聖堂から広場のエスメセルダを見下ろすシーンなどでは、まるで俯瞰の構図やロングショット、ズームやクローズアップといった映画の撮影テクニックが駆使されているかのようです。

 映画というものが世界のどこにも存在しなかった時代に、そのような映像的表現を操ることのできたユゴーは、類まれな幻視者といえます。彼が「映画の出現を先取りしたシナリオライター」と呼ばれる所以です。
===== 引用おわり
(添付図参照)
 
 

 この語、まだまだたくさんのストーリーが進行していくが、主要人物の最期だけ取り上げる。
 
===== 引用はじめ
 クロードは「まあ、聞け」と例の調子で語り、広場の絞首台を指して「わたしとこれと、二つのうち、好きな方を選ぶのだ」とエスメラルダに迫ります。
 これは究極の選択です。 … エスメラルダは決して屈服しません。彼女は絞首台に身を投げ出して答えます。
「こちらのほうが、あなたよりまだこわくありません」
===== 引用おわり
 


===== 引用はじめ
 カジモドはさきほどからじっと息を殺していたのだが、この不幸な娘が、敷石から4メートルもあるところで、縄の端にぶらぶら揺れているのを見てしまった。

 …カジモドは…怒り狂い、クロードに飛びかかると、背中を押して塔から突き落とします。…クロードは落下しますが、途中で樋に引っかかり、必死で樋にしがみつこうとします。…ついには力尽き、手を放します。…石畳の上で跳ね返ると、そのまま動かなくなりました。
===== 引用おわり
 


===== 引用はじめ
 カジモドはそれを見届け、再び絞首台のエスメラルダのほうに目をやります。 … 「ああ!おれの愛していた者はみんな!」 - カジモドにとっては世界にたった二人しかいなかった愛する人間が、二人とも世を去ってしまったのです。

 エスメラルダとクロードの死のあと、カジモドはノートル=ダムからすぐに姿を消しました。
===== 引用おわり
 


===== 引用はじめ
 エスメラルダの死骸は、パリの郊外にあるモンフォーコンという古い荒れ果てた刑場の墓穴に投げ込まれました。その後しばらく経ってから、…エスメラルダの骸骨を、もう一つの骸骨が抱きしめているのが見つかります。それは背骨の曲がった骸骨でした。そう、カジモドです。カジモドはここでエスメラルダの死骸を抱きしめたまま、死んでいたのです。そして、人々が彼の骸骨を彼女の骸骨から引き離そうとすると、骨は粉々に砕け散ってしまったといわれます。
===== 引用おわり
 

出典
鹿島茂(2018/2)、ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
 
 

3月の100de名著は、
『松本清張スペシャル』(予定) (2月24日発売予定)
講師 : 原 武史(放送大学教授、日本政治思想史研究者)
 
歴史の深層を照らす不朽の4作品を精読
 
『点と線』、『砂の器』などで「社会派推理小説」という一大ジャンルを築いた作家・松本清張。新資料や独自インタビューで歴史の真実に光をあてた『昭和史発掘』、その成果を活用した未完の遺作『神々の乱心』で彼は何を訴えようとしたのか? 上記4作を通じて、「思想家」としての松本清張に迫る!



 

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