2018年1月31日水曜日

(1135)  なぜ、日本人にできないのか(2) デトロイトにおける「公」と「私」


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(K0276)  人口減少社会と地方再生 <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/01/k0276.html
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前回は、コンパクトシティ化にむけた、デトロイトとライプツィッヒの取り組みを概観した。今回は、「公」と「私」の関係に着目する。
 

ライプツィッヒでは「連邦政府のプログラムである「社会都市(Soziale Stadt)」とEUのプログラムである「EFRE」の助成を受け」、市主導で進めたようだ。
https://www.leipzig.de/imperia/md/content/64_stadterneuerung/karten/foerdergebietskulisse_leipziger_osten_09_2009.pdf

 

一方、デトロイト市は財政破綻していた。動きは複雑であるが、要点を整理する。

(1) 財政破綻したデトロイト市役所に代り、慈善団体のKresge財団が主導して進めた

(2) 都市計画イニシャティブ Detroit Future City(以下DFC〉をまとめ、Strategic Framework Plan(以下SFP)を策定した。

(3) DFC Implementation Office(以下IO)は、DFCの実行組織である

(4) IOは、実際の再生事業に直接関わることはなく、各地区で具体的な活動を展開する住民組織やNPOに対する技術支援を主な活動としている

(5) IOは、SFP策定後、住民や地域コミュニティ、NPO等による空き地の利用転換(Transformation)を促すためのノウハウを整理したツールキット The Field Guide to Working with Lots(以下)の策定に注力した


 

このプログラムの成功の要因は、大きく分けて二つある。

(1) SFPは、空き地の割合の高い住宅地を積極的に非都市化する土地利用の目標像を提示した点で注目される

(2) その実行は、各地区の草の根の活動によるところが大きい

 

組織をもう一度簡単に整理すると4層になる

(1) 慈善団体のKresge財団
(2) 都市計画イニシャティブ Detroit Future City(以下DFC
(3) DFCの実行組織であるDFC Implementation Office(以下IO
(4) 各地区の草の根の活動(住民や地域コミュニティ、NPO等)

組織的に見れば、この4つの層全てが存在し、各々が役割を果たしたことが一つの成功要因と考えられる。


我々の常識では、コンパクトシティ化は「公」がするものと考えるだろう。しかし、このプロジェクトは「私」が進めた。しかし、その「私」は、「公」を視野に入れながら動いている。このように「私」は、まだ日本には少ないのではないか。

「市財政が破綻したにもかかわらず」進められたと考えそうだが、「市財政が破綻したから」進めることができたという側面もあるのではないか。

 

もう一つのポイント「空き地の割合の高い住宅地を積極的に非都市化する土地利用の目標像」については、次回検討する。

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