2017年10月30日月曜日

(1041)  人口減少社会の地域人口変動(2) / 「人口減少社会の構想」(4-2)(放送大学)


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(K0182) 社会参加(2) / トライアングル理論(9) <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/10/k018229.html
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  前回からの続き
 

目標&ポイント
===== 引用はじめ

この集中のプロセスをコホートの視点から分析し、その結果としての現在の東京圏と地方圏はどのような状態にいたっているかを理解する。

===== 引用おわり


前回示したように、
人口移動研究からの側面からみると、移動を規定する要因として、二つが存在する

(1)     経済的要因
 一貫して、影響している

(2)     人口学的要因
 1950年代前半と後半との間を境目として、要因が変わった
 

前回は、「(1) 経済的要因」について書いた。
今回は、「(2) 人口学的要因について書く。

 

A)  潜在的他出者仮説

伊藤達也による「潜在的他出者仮説」というものがある。

伊藤は、「地方圏における平均4人以上のきょうだいのうち、後継ぎとその配偶者になる要員は地方圏に残る選択をするが、それ以外は潜在的に他出するポテンシャルをもつ」という仮説を提示し検証した。例えば「きょうだいの数が4人から2人に減ったことに伴い、潜在的他出者がいなくなったことにより、1970年代前半における大都市圏への人口移動が収束を迎えた」と説明ができる。

「日本の社会が家の継承・人口再生産の維持をその社会の基本的前提条件としていることに変わりない」と、少なくとも1980年時点まで説明できることが分かった。


B)  潜在的他出者仮説の有効性

しかし、1980年代に入ると流入超過が再び拡大し、伊藤仮説では説明できなくなった。

丸山他は、潜在的他出者を超えた人口を評価する「後継者充足率」を定義した。
後継者充足率=(P-S)/S
P=後継者理論値:出身地に残留することが期待される後継ぎ要員の数
S=人口:国勢調査の都道府県人口

出典:
丸山洋平・大江守之、「潜在的他出者仮説の再検討~親の移動を考慮して」
https://www.kri.sfc.keio.ac.jp/report/mori/2008/b-25/gakkaisiryou.pdf
 

1980年代コホートにおける後継者充足率によれば、秋田・青森・岩手、山口・島根、四国や九州のほとんどの県などで後継者充足率が低い状態が継続し、後継ぎ要員を確保できないという状況が定着する傾向がある。

 

「第4章 人口減少社会の地域人口変動」の目次

1. 人口減少社会の地域的差異と大都市圏への集中

2. 人口転換と人口移動   ← 今回は、ここ
(1) 潜在的他出者仮説
(2) 潜在的他出者仮説の有効性

3. 大都市圏郊外におけるポスト核家族時代

 

出典

大江守之、「第4章 人口減少社会の地域人口変動」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)

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