2017年9月9日土曜日

(989) 人種思想 / 『全体主義の起原』(ハンナ・アーレント_) (2-1)


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(K0130) 男女雇用機会均等法 / 定年女子 <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/09/k0130.html
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9月11日放送/9月13日再放送
100分で名著』 Eテレ 放映
月曜日   午後10:2510:50
()水曜日 午前05:3005:55、午後00:0000:25
 

私は、人種差別はよくないことだと思っている。しかし、体の大きな黒人が近くに来ると、恐怖感を感じることがある。決して、その人は恐怖感を与えるような人ではないと思う。ただ、肌が黒いというだけである。

ここで感じる恐怖感は「人種差別につながるからいけない」のだ、「直さねばならない」のだと思ったり、「無いものとして蓋をし」たりしてはいけないと思う。この恐怖感は、「異質なものから自分の身を守ろうとする本能」から起こるものなのだから、コントロールできない。まず、素直に認めるとこが必要だろう。そうしないと「蓋を閉めて」しまう。

でも、そこに留まってはいけない。同じ人間としてつきあっていくためには、理性をもって本能を乗り越える必要があろう。「差別のない社会」は「もともとある」「自然にできあがる」ものではなく、意識して努力して時間をかけて「意図的につくる」特殊な状態だと思う。しかも安定的に維持するには、たえざる「補修」が必要だ。「人種差別」も、「差別」一般も同じだろう。

しかもその手続きは、言葉尻をとらえての批判や、「ポリティカル・コレクトネス」であってはならない。

 

===== 引用はじめ P.39

 …十七世紀にオランダから南アフリカに渡り、アパルトヘイトの基礎を築いたボーア人…。彼らは「人間とも動物ともつかぬ存在に対する恐怖」から人種思想を生み出し、非白人への差別と、暴力への支配を強めていきました。

 アフリカの大地に先住していた人々の容姿、漆黒の肌に漲る「野生」は、何も知らずにこの地に乗り込んできた白人を震え上がらせたのだと思います。しかし、そこでひるんでしまうわけにはいきません。

 何とかしてアフリカ人を押さえつけ、生き延びていかなくてはならない。危機的状況に追い込まれたボーア人が「非常手段」として生み出したのが「人種」思想だったとアーレントは考察しました。つまり、同じ人間の姿はしているけれど、我々=白人と、彼ら=黒人は「種」が違う。その違いに優劣の価値観を持ち込み、劣等な野生には暴力をもって対峙するほかない、と考えたわけです。

===== 引用おわり


他人事ではない。日本本土への空襲での民間人の無差別殺人、広島・長崎への原爆投下は、ジャップ(日本人および日系人を指す略称、蔑称、または差別用語)に対したものであり、ドイツに原爆を落とすことは、あり得なかったと思う。北朝鮮に対するトランプ大統領にも同じ匂いを感じる。北朝鮮への核攻撃の敷居は低いと思う。

話を元に戻す。

 

===== 引用はじめ P.43

 植民地支配がもたらした意識の変化は、十九世紀にイギリスで「優勢思想」が生まれたこととも呼応しています。優勢思想とは、人間には進化の度合いが高い人種と、進化の遅れた劣等人種があるとして、生物学的な(しかし厳に科学的とは言いがたい)優劣をつけるもの。同じくイギリス生まれの進化論を、発想の源の一つとしています。

===== 引用おわり

この流れが、ナチスによるユダヤ人虐殺につながった。

 

ひるがえって、日本にあてはめてみると。

   中国人と韓国人と日本人は容姿が似ているので、それだけで恐怖心は起こらない
   アパルトヘイトのような仕組みはなかった
  「人種思想」は、あっても弱いものだった(ナチスとの比較)
  「優勢思想」も、あっても弱いものだった(ナチスとの比較)
  「朝鮮人蔑視」や「朝鮮人差別」は、あったと思う。ただ、ナチスのように「ユダヤ人であるから殺す」というようなシステムはなかった

専門家ではないので、「思った」というレベルでしか言えない。

 

むしろ日本人は、外国人好きともいえる。

===== 引用はじめ

 夏木の母・和子さんはフランス人のような顔をしていたといい、戦後いじめをうけていたという。

 和子さんの母で夏木の祖母・佐々木るんさんは伊豆諸島・八丈島出身。八丈島は海流が激しいため、外国船の漂流も多く、島民も“新人好み(あらひとごのみ)”というほど外国人を歓待していた。

===== 引用おわり
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170209-OHT1T50161.html
夏木マリをとりあげたNHK「ファミリーヒストリー」からの引用である。

沖縄に行ったとき、そこで感じる解放感も、「外から来るものを拒まず受けいれる風土」からきていると思った。

仏教も儒教も、クリスマスもハロウィンも、外から来たものだ。

黒人男性と腕を組んで歩いている日本人女性を見ると、これで良いとも、これで良いのかとも思う。差別意識が、私の中にあるのだろうか。

 

第2回 帝国主義が生んだ「人種思想」

(1)  近代「帝国主義」の特質
(2)  アフリカ争奪戦が醸成した「人種」思想
(3) 「民族」的ナショナリズムの勃興
(4)  国民国家の枠組みを壊した「血」の論理
(5)  戦争と革命が生んだ「無国籍者」の問題
 

出典:
仲正昌樹、ハンナ・アーレント『全体主義の起原』、「100deで名著」、NHKテキスト(2017/9)
写真は、ここから転載。

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