2017年8月31日木曜日

(981) 抑止理論 / 北朝鮮ミサイル(3)


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北朝鮮のミサイルが日本の頭上を飛んで行った。前々回・前回で「Jアラート」「ミサイル防衛体制(MD)」について考えてみた。今回は、「抑止理論」について考えてみる。


日本の「ミサイル防衛体制(MD)」では日本を守れないことは、前回書いたように明らかである。その状況のもとに、いかに日本を守るか。
 

北朝鮮と「話し合いにより解決する」というのは、少なくともこれまでは役に立たなかった。「話し合いで解決できない」ことは、明白になった。これまで随分話し合おうとしてきたが、何も解決していない。約束しても、北朝鮮は平然と破ってきた。話し合いで解決できるなら、拉致問題はとっくの昔に解決しているはずだ。

戦争で解決したくなければ、話し合いで解決する必要がある。しかし、国家間の話し合いは、その背景にバランスのとれたパワーゲームが必要だ。「一般的に必ず」とは言わないが、「北朝鮮は必ず」と言えるだろう。


相手のパワーから逃れるか、相手からの妥協を得るために、話し合いで妥協する。相手に妥協しなくても自分が困らなければ、妥協することはない。いくら理不尽でも、相手は妥協はしない。

両者とも「性善」ならば、性善説で話し合うことができるかもしれない。しかし、少なくとも一方が「性善」でないなら、性善説による解決はあり得ない。北朝鮮は「性善」ではないので、性善説による解決はあり得ない。解決にいたらなければ、力(軍事力)が無いほうが、力が有るほうに叩き潰される。
 

金正恩は、「抑止理論」信奉者であり、「抑止理論」で考えを組み立てる。だから日本も「抑止理論」で対抗しないと、話し合いで解決できない。

二つの出来事を、上記発想で説明できる。

一つ目は、アメリカのトランプが着任早々、シリアにミサイル攻撃した時の、北朝鮮の反応である。「トランプ大統領は実行力があるとわかり、金正恩は震えあがり、少しはおとなしくなるだろう」という意見もあったが、そのようにはならなかった。これは容易に説明できる。「シリアはミサイルを撃ち込まれても、アメリカに反撃できないから、ミサイルを撃ち込まれた。ミサイルを撃ち込まれないためには、反撃力が必要であり、だからミサイルと核開発を急ごう」。実際、北朝鮮はミサイルと核開発を驀進し、トランプ大統領は武力行使の可能性を口では言うが少なくともこれまでは行使していない。

二つ目は、グアムにミサイルを発射すると言いながら、発射したのは日本の領土上空であった。何故か。アメリカを怒らせると手痛い反撃にあうかもしれないが、日本を怒らせても何も怖くない。反撃できないからである。今のところ、グアムに向けてミサイルは発射していない。

日本になら、何をしても怖くない。だから、何をしてもよい。何かをしよう。これが、今のままだと、行きつく先だと思う。金正恩は、こういう発想をする人だと思う。
 


それでも日本が無事でおられたのは、日本がアメリカの抑止力の「傘の下」にいたからである。でも、これがいつまで続くか保証はない。北朝鮮がアメリカ本土に核攻撃できるとアメリカが判断した場合、アメリカがリスクを負ってまで日本を助けるか疑問である。「アメリカ・ファースト」の国だから。


アメリカの抑止力の「傘の下」にいる間に日本が抑止力を整備できなければ、日本の国が地球からなくなってしまうことも十分ありえると、私は思う。

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