2017年6月3日土曜日

(892) 仏教思想の一大転換 / 『維摩経』(1-1)


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   『100分で名著』 6月日5() 22:25 22:50 Eテレ 放映


【本テキストの構成】

第1回 仏教思想の一大転換

 在家者が出家者に教えを説く?
 自分の都合を小さくする
 なぜ修行には出家が必要だったのか
 それまでの仏教と大乗仏教の違い
 仏教の基礎を順序よく語る釈迦     … ここから『維摩経』第1章
 維摩はどんな人物なのか     … ここから『維摩経』第2章
 方便を巧みに使って説く維摩
 

【『維摩経』の構成】

第1章「仏国品」(ぶっこくぼん)
 釈迦が説法を行う

第2章 「方便品」(ほうべんぼん)
 物語の主人公である維摩が登場する

 

<各論>  第1回 仏教思想の一大転換


 在家者が出家者に教えを説く?

 大乗仏教になると「出家者も在家者も同じように悟りを開き成仏することもできる」と考えるようになった。『維摩経』では、在家者の立場にある維摩が、出家者たちに仏教の本質を説くという内容になっている。
 

 自分の都合を小さくする

 釈迦は、生きる上で避けることのできない苦悩(老病死など)の根源である「自分の都合」を小さくする道を提示した。われわれは「苦悩」にばかり目を奪われて、それを小さくしようと試みるが、うまくいかない。なぜならばそれは結果だからである。究極には、「自分の都合」を消滅させてしまえば、「苦悩」も消滅する。

 
 なぜ修行には出家が必要だったのか

 一般的な生活を続けていては、自分の都合から逃れることはできないと考えたからである。その後「出家者も在家者も、共に同じ仏道を歩む」という仏教思想が発達し、大乗仏教に向かった。

 
 それまでの仏教と大乗仏教の違い

 大乗仏教(*)の特徴:「菩薩道(*)は主要テーマの一つ」「誰もが仏陀(悟りを開いた人)になれる=この世界には無数の仏陀が存在している」「すべての固定・固着を解体し尽くす『空』の理念が発達」「(社会生活や家庭生活における)他者性・社会性」など

次回、(*)について解説する

 
 仏教の基礎を順序よく語る釈迦     … ここから『維摩経』第1章

 「仏の国とはどのようなものか・どうすれば仏の国を実現できるか」「六波羅蜜(*)」「四無量心(*)」「四折法(*)」「われわれの世界もすでに仏国土になっている」について語った。仏教は「智慧(*)」と「慈悲(*)」を目指す教えである。

次回、(*)について解説する

 
 維摩はどんな人物なのか     … ここから『維摩経』第2章

 出家者ではないものの、深く仏道を極めてすでに悟りを得た人物であった。一番の特性として「さまざまな手だてをもって、人々を導く能力に長けていた」。

 
 方便を巧みに使って説く維摩

 ここでの「方便」は、「真実へと近づくための中間地点」である。いきなり深い話をしても理解してもらえないので、徐々に本題を理解してもらう方向へ人を導いていく。

 

出典:
釈徹宗、『維摩経』~とらわれない、こだわらない~、「100DEで名著」、NHKテキスト(2017/6)
図:敦煌の石窟に描かれた維摩居士

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