2017年1月31日火曜日

(769) 『恋しくて(The Selected Love Stories)』村上春樹編訳


私の読書対象としては、異質な本である。そもそも小説は本当にあったことを書いているのではなく、いわばウソなので、それを読んで何になる? ましてや、架空の人物が恋愛したところで、それが何か? という感覚である。ただ、結論から言うと、結構、面白かった。

 そもそも、この本を選んだ経緯が変である。本屋を歩いていて、「村上春樹編訳」というのが目にとまった。だから買ってみたら、恋愛小説だった。

 NPO法人新現役ネットで月1回のペースで「読書サロン」を開催していて(*1)、これまでで22回開催してきた。参加者が持参してきた「みんなに紹介したい本」を紹介して、それをネタにして、おしゃべりする会である。最近のペースでは、毎回11冊程度の本が紹介されている(*2)。その中で村上春樹の書いた本が紹介されたのは1回だけであった。

(*1) 次回は、220()開催。会員以外も参加可
  https://www.shingeneki.com/common/details/area/2293


 

ところが前回、『村上春樹と私』(ルービン,ジェイ、東洋経済)いう本が紹介された。村上春樹は自ら著作するだけでなく、多くの翻訳をしているという。私自身、村上春樹の本は一冊も読んでいない。せめてと、村上春樹が翻訳した本を買ってみたのである。

 
===== 訳者あとがき(P.369P.370) より引用 はじめ

 僕は「ニューヨーカー」誌を定期購読しており、それほど忙しくない時期にはそこに掲載されているフィクションに、毎週ざっと目を通すようにしている。多くの場合、質の高い最新の短編小説と出会うことができるから。あるとき立て続け三篇、強く興味を惹かれる(あるいは印象に残る)作品に巡り合った。 … そしてその三つの小説に共通するのは…そう、それらがかなりストレートなラブ・ストーリーであったことだ。 … ラブ・ストーリーのアンソロジー(*3)が簡単にひとつ作れそうじゃないかと思い立った。

===== 引用 おわり
(*3) アンソロジー:いろいろな詩人・作家の詩や文を、ある基準で選び集めた本(デジタル大辞泉)

 
何故、私が興味深く読めたのだろうか? 村上春樹の選んだ本が良かった? 翻訳がうまかった? あるいは、私の心が成長したのだろうか ♪

 
村上春樹編訳、「恋しくて」、中央公論新書

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