2016年10月30日日曜日

(677)  日々是好日


先に(675)

「生への執着が先ずなくなり、次に死が訪れる」ために、次の三つが大切だと思う。即ち、

(1)   過去を考えない
(2)   未来を考えない
(3)   今できることを考える

と述べた後、

 「なお、過去の楽しかったことを思い出したり、お世話になったことを思い出して感謝したりすることは、… 安らかな死を迎える力を与えてくれるだろう」と書いた。

 

 今朝、テレビを見ていたら、まさにその例が出ていたので紹介する。

 
こころの時代~宗教・人生~ アンコール
「日々是好日-生かされて生きる-
【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄,【きき手】金光寿郎
 
【初回放送去年712日】 → 今回放送 1030
 → 再放送予定 115()  NHKEテレ1 午後100分~ 午後200 

 

===== 概要 はじめ

 夜の8時に突然の来客があった。切羽詰まっているようなので話を聞いた。

 奥さんが末期がんで余命は一週間。モルヒネも効かない痛みで、苦しみの中でのたうちまわっている。優しい母・良き妻だったのに、今は汚い言葉を発して、見るに堪えない。本人の気を静めるためにひと言、書いてほしい、とのこと。

 奥さんは以前に手伝いに来てもらった門前の方で、一筆書いてほしいと言われながらも書いていなかったので、引き受けた。


 しかし、明日をも知れぬ命、何と書けばよいのか。…
硯に向かって思いついた言葉が「日々是好日」だった。

「好日という言葉の意味は、単純に『好い日』です。今、一番苦しい時でしょうけれど、この字を見ながら、人生で『あんなに素晴らしい日』はなかったか、『こういう家族が得られて、こんな楽しいこと』はなかったか、そういう日がいくつかあるはずだから、それを思い出しながら、じっと考えてみてもらえませんか」と伝えてほしてと言って、わたした。

 
 1週間か10日後に「残念ながら…」と連絡があるかと思っていたが無く、二か月半後、海外から帰国した日に「10日前に家内は死んだ。お礼にうかがいたい」と連絡があった。来ていただき、様子を聞いた。

 
 書いてもらった日に、すぐ説明してわたした。その時は気分が良く、「よくわかった」と受け取り、じっと見ていた。寝たり起きたりだが、その後も起きている時には、じっと見ていた。

 余命宣告された一週間がたって、医者の見立ては変わらなかった。

 10日たつと、水を飲みたいと言った。食道がんで飲めなかったので医者に相談したら「本人が飲みたいというなら飲ませなさい」と言われた。水を飲んだ

 何日かたって、ジュースを飲みたいと言って、飲んだ

 一週間たって、果物を食べたいと言って、食べた

 一ヶ月たって、食事をしたいとい行って、食べた

 家族としては希望が出てきたが、医者に診てもらうと進行が進んでいるとのこと

 
 二か月たって、奥さんはアルバムから自分の遺影を指定し、アクセサリーや着物を誰にあげたいかを言い、「死んだときにこの服を着せてね、化粧してね」と娘に頼んだ。

 その翌朝、御主人と二人になり、「私は、もう死ぬことは怖くない。でも、あなた一人を残して逝くのはつらい。ありがとう」と言って、すっと息を引き取った。

===== 概要 おわり

0 件のコメント:

コメントを投稿