先に(675) で
「生への執着が先ずなくなり、次に死が訪れる」ために、次の三つが大切だと思う。即ち、
(1)
過去を考えない
(2)
未来を考えない
(3)
今できることを考える
と述べた後、
「なお、過去の楽しかったことを思い出したり、お世話になったことを思い出して感謝したりすることは、… 安らかな死を迎える力を与えてくれるだろう」と書いた。
今朝、テレビを見ていたら、まさにその例が出ていたので紹介する。
こころの時代~宗教・人生~ アンコール
「日々是好日-生かされて生きる-」
【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄,【きき手】金光寿郎
【初回放送去年7月12日】 → 今回放送 10月30日
→ 再放送予定 11月5日(土) NHKEテレ1 午後1時00分~ 午後2時00分
===== 概要 はじめ
夜の8時に突然の来客があった。切羽詰まっているようなので話を聞いた。
奥さんが末期がんで余命は一週間。モルヒネも効かない痛みで、苦しみの中でのたうちまわっている。優しい母・良き妻だったのに、今は汚い言葉を発して、見るに堪えない。本人の気を静めるためにひと言、書いてほしい、とのこと。
奥さんは以前に手伝いに来てもらった門前の方で、一筆書いてほしいと言われながらも書いていなかったので、引き受けた。
しかし、明日をも知れぬ命、何と書けばよいのか。…
硯に向かって思いついた言葉が「日々是好日」だった。
「好日という言葉の意味は、単純に『好い日』です。今、一番苦しい時でしょうけれど、この字を見ながら、人生で『あんなに素晴らしい日』はなかったか、『こういう家族が得られて、こんな楽しいこと』はなかったか、そういう日がいくつかあるはずだから、それを思い出しながら、じっと考えてみてもらえませんか」と伝えてほしてと言って、わたした。
1週間か10日後に「残念ながら…」と連絡があるかと思っていたが無く、二か月半後、海外から帰国した日に「10日前に家内は死んだ。お礼にうかがいたい」と連絡があった。来ていただき、様子を聞いた。
書いてもらった日に、すぐ説明してわたした。その時は気分が良く、「よくわかった」と受け取り、じっと見ていた。寝たり起きたりだが、その後も起きている時には、じっと見ていた。
余命宣告された一週間がたって、医者の見立ては変わらなかった。
10日たつと、水を飲みたいと言った。食道がんで飲めなかったので医者に相談したら「本人が飲みたいというなら飲ませなさい」と言われた。水を飲んだ
何日かたって、ジュースを飲みたいと言って、飲んだ
一週間たって、果物を食べたいと言って、食べた
一ヶ月たって、食事をしたいとい行って、食べた
家族としては希望が出てきたが、医者に診てもらうと進行が進んでいるとのこと
二か月たって、奥さんはアルバムから自分の遺影を指定し、アクセサリーや着物を誰にあげたいかを言い、「死んだときにこの服を着せてね、化粧してね」と娘に頼んだ。
その翌朝、御主人と二人になり、「私は、もう死ぬことは怖くない。でも、あなた一人を残して逝くのはつらい。ありがとう」と言って、すっと息を引き取った。
===== 概要 おわり
0 件のコメント:
コメントを投稿