2016年4月7日木曜日

(471) 変わる、変わらない


 自分の生き方を振り返ってみると、三つの考えがベースになっている。

 (1) 「良くなる」「変わらない」「悪くなる」と三つあるようだが、実際には「変わらない」はなく、「良くなる」と「悪くなる」しかない。だから、「悪くなる」になりたくなければ、「良くなる」を続けるしかない

 (2) Best に向かって生きる生き方がある。到達点(Best)を設定し、そこに計画的に近づいていく。それに対して、私はBetterをキープする生き方をしている。昨日より今日が良くなったか、どうすれば今日より明日が良くなるか。それを積み上げる。

 (3) 「止まってしまわない」ことが大切である。そのためには、動き続ける。そして、その動きが良い方向に向かっているかをモニタリングし、必要があれば修正する。

 
 今朝(4/7)、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK)を見ていたら、主人公「常子」の名前は「世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも」(源実朝の作)からきており、「変わらないのが良い」のである。一瞬、違和感があった。

 
=====  原文と訳(引用)

世の中は 常にもがもな 渚(なぎさ)漕ぐ
   海人(あま)の小舟(をぶね)の 綱手(つなで)かなしも
         鎌倉右大臣(93番) 『新勅撰集』羈旅・525

 
変わりやすい世の中ではあるが、ずっと平和であってほしいことだ。この海辺は平穏で、渚を漕ぎ出す小舟が引き綱を引いている光景が、しみじみと愛しく心にしみることだ。

 
I know that everything in this world is forever changing, and yet my wish is for lasting peace. The scene of this tranquil beach, dotted with fishermen casting their nets into the water, has become very dear to me.

=====


 
 「私」と「世の中」と二元で考えたら、頭の中が整理された。

 「私が変わる」vs「私は変わらない」という「私」の領域内で、私は考えていた。しかし「世の中が変わる」vs「世の中は変わらない」という軸を持ち込むと、景色が変わる。

 源頼朝(鎌倉右大臣)は、「変わる世の中」にいたがために、「変わらない世の中」を求めたのだろう。多分、その中で「変わらない自分」も望んだのではないだろうか。

 では、「変わらない自分」が達成されるとどうなるか。「深くなる」だろう、というのが私の答えである。その結果の一つが、源頼朝の和歌である。

 
 このあたりで、飛躍して終わる。

 
日本文化の特徴kの一つは、「静(=動かない)の中の深み」ではないだろうか。
変わらないには、変わらないの魅力がある。

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