仙藤博文さん
> さて、そんな戦略を日本国政府は持ち合わせているだろうか?
(Facebookでのコメント)
日本国政府は、勿論! 持ち合わせていないだろうが、欧州の民主主義国家など、ほとんどの国も持ち合わせていないでしょう。何故なら、戦略を立てるためには「読み」(こう言えばトランプ大統領はこう動くだろう)が必要だが、ほとんど読めません。「直言すれば怒り出す」ことだけは確かそうですが、その「読み」だけでは戦略は立てられません
もっとも良い戦略を組めそうなのは、プーチン大統領だと思います。彼の場合、「自分がトランプ大統領の立場だとこうするだろう」と自省すれば、それはかなり高い確率でトランプ大統領の行動と一致するだろからです
では、何故、欧州の民主主義国家には読めないのでしょうか。道徳観が違うからです。もっと正確に言うと、トランプ大統領に道徳はないからです。代表的なのは次の二つです
・「他人に迷惑をかけてはいけない」という道徳は、トランプ大統領に皆無です
・「ルールは守らなければならない」という道徳も、トランプ大統領に皆無です
トランプ大統領は、次のような行動をとっています
他人への思いやりがない
・ アメリカからの支援援助停止でウクライナの人が何人死んでもかまわない。トランプ大統領から見れば、悪いことが起こるのは全部ゼレンスキー大統領の責任で、自分には関係ない
ルールについては、大統領は次のような原理で動いているようです
・ 既にあるルールは、自分勝手に変えてよい(GATTやIMFはアメリカの利益を損なうので、守らなくてもよい)
・ 新しいルールを決めるのは自分で、他の人がどう言おうと関係ない
・ 自分で合意したルールでも守らなくてよい(安倍元首相と交わした合意を守る気はない)、他の人の決めたルールなぞ、なおさら守らない
欧州の民主主義国家のリーダーは、先の二つの道徳を兼ね備えているから、選ばれました。だから、その前提で発想しがちで、そうである限りトランプ大統領の行動を読めません。アメリカ国民は、道徳を持ち合わせていない人を大統領に選びました
また、特に、専門家は戦略を立てられません。何故なら、彼らは過去の事例から学び、理論を構築するが、トランプ大統領には、過去の事例が当てはまらないからです
しかしながら、ようやくトランプ大統領の行動事例が積みあがってきたので、戦略を立てられるようになってきました
トランプ大統領への対応は、次のように(トライ&エラー・仮説検証)組み立てていくとよいと思います
・ トランプ大統領の行動をよく観察する
・ 仮説を立て、なんらかの対応をするが、失敗する。どのように、何故、失敗したかを分析し新たな仮説を立てる
・ 以上を繰り返しながら、知見を深め、正解を探り出す
日本は、伝統的に戦略が苦手で、戦略の無いまま行動してきました。色々あったが、何故かこれまで、生き延びてきました。それは「トライ&エラー・仮説検証」を駆使してきたからだと思います
日本は、戦略性に欠けるからこそ、戦略の通じないトランプ大統領にいち早く対応できる可能性があります。しょっぱなから「トライ&エラー・仮説検証」から入っているからです
赤澤大臣が、「優先順位をそちらで決めてくださいよ」と言ったり、もらったキャップ(「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」帽子)を嬉しそうにかぶっていたり、と批判されています。戦略思考からすれば当然の批判です
でも、恥も外聞もなく、見栄も誇りもなく、相手の懐に飛び込んで交渉するのは、いかにも日本的だと思います。案外、トランプ大統領にはうまくいくかもしれません(石破首相に戦略性を期待しても無理だから、ここに期待するしかありません)
うまくいく保証はありませんが、どの国も同じで、日本が後れを取っているわけではありません。ロシアも今は上手に付き合っているが、いつ手のひら返しされるか分かりません。ただ、トランプ大統領がロシアでのビジネスを期待している限り、ロシアは大丈夫で、プーチン大統領はそのことを十分理解して、うまく立ち回るでしょう。イスラエルは安泰でしょう。この二つの国は例外、同じようにはなれません)
トランプ大統領は、敵に対しては厳しいですが、子分には柔和に対します(対日本でのトランプ大統領の現状・いつ激変するか予想できない)。子分が役立たずだとみなせば、義理も人情もなく切り捨てます
なお、トランプ大統領への戦略を立てるのに最も大切なキーワードは、「ソシオパス」でしょう
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平たく言うと、ソシオパスとは「反社会的な行動をためらわない、良心が欠けた人」です。臨床心理士のベサニー・ジュビー氏によると、ソシオパス、またはサイコパスは「反社会性パーソナリティ障害」をもつ人を指します。
ハーバード大学医学大学院助教授のロイス・チョイ・ケイン氏によると、反社会性パーソナリティ障害の特徴は「個人的利益や快楽のために違法行為、欺瞞行為、搾取的行為、無謀な行為を行ない、良心の呵責を感じない」で、以下の傾向があるそうです。
・ 衝動的に行動する
・ 自分の行為が他者に及ぼす悪影響に関心を示さない
・ 請求書の支払いをしないなど、社会的・金銭的な責任を果たさない
・ 他者への共感に欠ける
・ パートナーを利用・虐待する
・ 相手や社会を責めて自分を正当化する
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https://studyhacker.net/what-is-sociopath
関連参考図書
世界で最も危険な男 「トランプ家の暗部」を姪が告発
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%A7%E6%9C%80%E3%82%82%E5%8D%B1%E9%99%BA%E3%81%AA%E7%94%B7_%E3%80%8C%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E5%AE%B6%E3%81%AE%E6%9A%97%E9%83%A8%E3%80%8D%E3%82%92%E5%A7%AA%E3%81%8C%E5%91%8A%E7%99%BA