2021年4月4日日曜日

(2293)  渋沢栄一『論語と算盤』(1-2) / 100分de名著

 

◆ 最新投稿情報

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(K1434)  (1) 終了しました / 第1回「死生懇話会」(滋賀県) <死生>

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/04/k1434-1-1.html

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成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。成功など、結果生まれるカスにすぎない

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第1回  5日放送/ 7日再放送

  タイトル: 高い志が行動原理を培う

 

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50

再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55

 及び        午後 00:00~00:25

 

【テキストの項目】

(1)  「順風満帆」ではなかった前半生

(2)   渋沢栄一と「論語と算盤」の出合い

(3)  「武士になる」――十六歳で立てた志

(4)   大きな志と小さな志

(5)   討幕の志士から一橋家の家臣へ

(6)  「私は逆境の人になってしまった」

 

(7)   可能性で立てる志、限界を知って見える天命

(8)   志のために――自ら箸を取る

(9)   逆境も自分の「分」と考える

(10) すべきことは楽しみながら

(11) 人の価値は志へ向かう歩みにある

 

【展開】

(1)  「順風満帆」ではなかった前半生

(2)   渋沢栄一と「論語と算盤」の出合い

(3)  「武士になる」――十六歳で立てた志

(4)   大きな志と小さな志

(5)   討幕の志士から一橋家の家臣へ

(6)  「私は逆境の人になってしまった」

 以上は、既に書きました。

 

(7)   可能性で立てる志、限界を知って見える天命

 志と天命。この二つの違いは、自分の可能性に目を向けるか、それとも、自分の限界に目を向けるか、という視点の違いから生まれるものです。

 …「何でもできるけれども、今は法律に興味があるから、弁護士になってこの街の困っている人を助けてあげたい」というように、自分が持つ大きな可能性から進む道を見つけていく――これが、孔子のいう「立志」です。

 …もう自分に無限の可能性があるとは思っていません。「自分にできること、できないことは見えてきた。できることのなかから、この街にこういう貢献をしていこう」と、決意を新たにする――これが「天命を知る」ことなのです。

 

(8)   志のために――自ら箸を取る

 しかし、それは普通以下の人の話で、もしその人に手腕があり、優れた頭脳があれば、たとえ若いうちから有力な知り合いや親類がいなくても、世間が放っておくものではない。もともと今の世の中には人が多い。官庁にも、会社にも、銀行にも、人がたくさん余っているくらいだ。しかし、上の人間が「これなら大文夫」と安心して任せられる人物は少ない。だからどこにおいても、優良な人物ならば、いくらでも欲しがっている。

 こうして人材登用のお膳立てをして、われわれは待っているのだが、この用意を食べるかどうかは箸を取る人の気持ち次第でしかない。ご馳走の献立をつくったうえに、それを口に運んでやるほど先輩や世の中はヒマではないのだ。

 

(9)   逆境も自分の「分」と考える

 わたし自身が逆境に立たされたとき、自分でいろいろと試し、また何が正しい道筋なのかという観点から考えてみたことがある。その内容をここで明かしてしまうと、それは逆境に立たされた場合、どんな人でもまず、

「自己の本分(自分に与えられた社会のなかでの役割分担)」だと覚悟を決めるのが唯一の策ではないか、ということなのだ。

 現状に満足することを知って、自分の守備範囲を守り、「どんなに頭を悩ませても結局、天命(神から与えられた運命)であるから仕方がない」とあきらめがつくならば、どんなに対処しがたい逆境にいても、心は平静さを保つことができるに違いない。

 

(10) すべきことは楽しみながら

 たとえどんなことでも、自分のやるべきことに深い「趣味」を持って努力すれば、すべてが自分の思う通りにならなくても、心から湧き出る理想や思いの一部分くらいは叶うものだと思う。孔子の言葉にも、

「理解することは、愛好することの深さに及ばない。愛好することは、楽しむ境地の深さに及ばない」とある。

 これは「趣味」の極致といってよいだろう。自分の務めに対しては、この熱い真心がなくてはならないのだ。ここでいう「趣味」とは、ホビーではなく、インタレスト(興味)の意味です。楽しさやワクワクするような気持ちと読み替えていいでしょう。

 

(11) 人の価値は志へ向かう歩みにある

 本当に人を評論しようと思うならば、その富や地位、名誉のもととなった「成功か失敗か」という結果を二の次にし、よくその人が社会のために尽くそうとした精神と効果とによって、行われるべきものなのだ。

 成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。成功など、人として為すべきことを果たした結果生まれるカスにすぎない以上、気にする必要などまったくないのである。

 

 

<出典>

守屋淳(2021/4)、渋沢栄一『論語と算盤』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)



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