2020年7月3日金曜日

(2019)  吉本隆明『共同幻想論』(1-1) / 100分de名著


◆ 最新投稿情報
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(K1160)  息子はまだ小学生のはずだけど(2) / 認知症の人の不可解な行動(18) <認知症>
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非常に読みにくい本だと言われている。著作全体を流れる大きな物語、一貫した筋が非常につかみにくい作品だ。まずは『共同幻想論』がなんのために書かれたのか、吉本隆明の問題意識を共有してしまうことが重要だ
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第1回  6日放送/ 8日再放送
  タイトル: 焼け跡から生まれた思想--戦争体験から

【テキストの項目】
(1)  『共同幻想論』とは何か
(2)   吉本隆明をつき動かしたもの
(3)   敗戦体験からの出発

(4)   詩に記された切迫感と暗い心情
(5)   なぜ人は、なにかを信じてしまうのか
(6)  「関係の絶対性」がはらむ二つの意味
(7)  「国家」の成り立ちの探求へ

【展開】
(1)  『共同幻想論』とは何か
 しばしばこの本は、非常に読みにくいと言われます。 … 著作全体を流れる大きな物語、一貫した筋が非常につかみにくい作品なのです。 … まずは『共同幻想論』がなんのために書かれたのか、吉本隆明の問題意識を共有してしまうことが重要です。 … 視野を広げ、吉本自身の「思想の原点」に遡っておく必要があるのです。
 そのために、今回は、二つのことを行います。まず第一に、徹底的に序文にこだわり、吉本思想の核心をつかみだします。第二に、吉本隆明の戦争体験を考察します。戦争を肯定し国家のために死ぬことも覚悟していた吉本は、自分が確信をもって抱いた死生観は全否定されてしまったのです。

(2)   吉本隆明をつき動かしたもの
 国家や法だけでなく、宗教や土俗信仰にいたるまで、すべての共同体は「幻想」でつくられている。よって「共同幻想」の成り立ちを解明できれば、国家ばかりではなく、人間が他者と関係を結ぶことで起きるさまざまな現象をまるごと理解できるはすだ。
 共同幻想に心を占拠されれば個人幻想は消滅し、逆もまた考えられます。お互いを侵食しあう駆け引きがあるのです。大切なことは、「個体の幻想」と「共同幻想」とは本来、「逆立(ギャクリツ)」しているはずだという吉本のつよい信念です。個人は極めて容易に共同体の中に埋没してしまう傾向があって、それに徹底的に抗いたいという吉本の主張です。「個人幻想」と「共同幻想」は、本来、緊張関係をもっていなければならない。とりわけ戦前の日本では、緊張関係が失われたと吉本は考えていました。

(3)   敗戦体験からの出発
 人間が正常な考え方をしている限り、なんの問題もなく思える。ところが、私たちは自分自身でも理解を絶するような行動にでてしまうことがある。たとえば戦地へ赴けば、平気で死体の数をかぞえ、笑顔で記念写真を撮ることもできる存在、それが人間である。なぜ、こういう奇怪きわまりない行動や思考ができるのか。私たちはなにに呑み込まれて、狂気の渦に巻き込まれていくのか。正常と異常を切り替えるスイッチとはなんなのか。 吉本がだした答えは、それは「共同幻想」が生みだしたものだと理解するより他に術がない、というものでした。


 以下は、後日、書きます。
(4)   詩に記された切迫感と暗い心情
(5)   なぜ人は、なにかを信じてしまうのか
(6)  「関係の絶対性」がはらむ二つの意味
(7)  「国家」の成り立ちの探求へ

<出典>
山崎彰容(2020/7)、吉本隆明『共同幻想論』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)


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