2019年11月18日月曜日

(1791) 「犠牲」の三態「生・生産」「死」「悲・憤」

 
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「犠牲」という言葉には暗いイメージがつきまとうが、そうでない「犠牲」もある。何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない。望ましく必要な犠牲と避けたい犠牲がある。「生・生産」「死」「悲・憤」
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 「犠牲」という言葉には、暗いイメージがつきまとう。しかし、そうでない「犠牲」もある。
 

1.   「生・生産」の「犠牲」 / RWC日本代表チームにみる

1.1.  「本当にこのときのために、全ての時間を犠牲にして、この勝利のために頑張ってきた」
1.2.   大会を通して何人もの選手が「全てを犠牲にしてきた」と語った
1.3.   キャプテンのリーチ・マイケルが3度、「犠牲」という言葉を口にした
1.4.   ブレイブ・ブロッサムズ(*)が語った「犠牲」は、「生」につながっている
 (*) 勇敢な桜の戦士たち。ラグビー日本代表のこと
 
2.   「死」の「犠牲」

2.1.  「犠牲」という熟語を「死」と同じ意味で使ってきた
2.2.   死者・行方不明者と正確に記すべきなのかもしれない
2.3.  「死」の同義語として「犠牲」と書くことに躊躇(ためらい)が伴う
 
3.   「悲・憤」の「犠牲」 … 私(=藤波)の意見
 
4.   「犠牲」が「生・生産」であるための条件 … 私(=藤波)の意見

4.1.   共通点と相違点
4.2.   何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない
4.3.  「犠牲」が「生・生産」につながっている
4.4.   望ましく必要な犠牲と避けたい犠牲とは、何が違うのだろうか
 
5.   「犠牲」を「生」につなげる

5.1.  1カ月半にわたったラグビーW杯、全てが「生」につながっている
5.2.  自然災害による多くの人たちの「犠牲」を「生」につなげる
 

【展開】
 
1.   「生・生産」の「犠牲」 / RWC日本代表チームにみる

1.1.  「本当にこのときのために、全ての時間を犠牲にして、この勝利のために頑張ってきた」
 2トライを挙げた福岡堅樹は試合後のインタビューで息を弾ませた。ラグビーワールドカップ(W杯)1次リーグ最終戦で、日本代表はスコットランドを28-21で破り、8強入りを決めた。

1.2.  大会を通して何人もの選手が「全てを犠牲にしてきた」と語った

1.3.  キャプテンのリーチ・マイケルが3度、「犠牲」という言葉を口にした
 南アフリカに敗れた準々決勝(10月20日)翌日の記者会見

1.4.  ブレイブ・ブロッサムズ(*)が語った「犠牲」は、「生」につながっている
 スタッフ、家族、チームを支えてくれた全ての人たちへの感謝と、この大会、一試合一試合にかけた選手たちの強い覚悟が「犠牲」の2文字に込められている。
(*) 勇敢な桜の戦士たち。ラグビー日本代表のこと


2.   「死」の「犠牲」

2.1.  「犠牲」という熟語を「死」と同じ意味で使ってきた
 死者15897人、行方不明者2533人。東日本大震災の被害である。死者と行方不明者を合わせた18430人を東日本大震災の巨大地震と大津波による犠牲者数として何度も何度も書いてきた。

2.2.  死者・行方不明者と正確に記すべきなのかもしれない
 しかし、死者と行方不明者を区別しない方が現実を伝えやすいことがある。

2.3.  「死」の同義語として「犠牲」と書くことに躊躇(ためらい)が伴う
 一方で、行方不明者の生存に一縷(いちる)の望みを捨てきれずに苦悩している人が、今もいるかもしれない、という思いが頭をよぎる。
 

3.   「悲・憤」の「犠牲」 … 私(=藤波)の意見
 「誰かが誰かを犠牲にした」という文脈で「犠牲」という言葉が使われることが多い。このとき、犠牲にされた人は、深い悲しみと、激しい憤りを感じる。かくも「犠牲」という言葉は重たい。「勇敢な桜の戦士たち」が語った「犠牲」もまた重くはあるが、希望へつながったものである。
 

4.   「犠牲」が「生・生産」であるための条件 … 私(=藤波)の意見

4.1.  共通点と相違点
 三つの意味を内包している「犠牲」という言葉。同じ言葉を使う以上共通点があるが、相違点もある。

4.2.  何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない
 何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない。これを忘れてしまっている人が増えてきているように思う。得たいものを得たいが、犠牲は払いたくない。自身のなすべきことを棚に上げ、その犠牲を他の人に求める人が増えてきている。

4.3.  「犠牲」が「生・生産」につながっている
 ラグビーの選手がしてきたことは、単純明快で心強い。「何かを得るために何かを犠牲にしてきた」。このような犠牲は、いつの時代にも必要だ。何かを創ろうとするときも、愛を貫こうとするときも、同じだ。

4.4.  望ましく必要な犠牲と避けたい犠牲とは、何が違うのだろうか
 望ましく必要な犠牲とは
   強制されたものではなく、自発的なものである
   その先に、生、生産、喜び、希望がある
   ただ中に在っては苦しいが、思い返すと充実がある
 ワールドカップで語られていた犠牲は、この犠牲だろう。


5.   「犠牲」を「生」につなげる

5.1.  1カ月半にわたったラグビーW杯、全てが「生」につながっている
 1カ月半にわたったラグビーW杯は大きな感動と勇気をくれた。国籍、人種を超越した「ワンチーム」の強さ。激しいプレーの中に体現される「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン」、そして「ノーサイド」の精神。全てが「生」につながっている

5.2.  自然災害による多くの人たちの「犠牲」を「生」につなげる
 自然災害による多くの人たちの「犠牲」を「生」につなげることは、残された全ての者の責務である。ラグビーW杯の感動と勇気とともに、改めて心に刻みたい。
 

<出典>
中本哲也、「生」につながる犠牲がある
【日曜に書く】産経新聞(2019/11/03)
https://www.sankei.com/column/news/191103/clm1911030005-n1.html

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