2019年5月4日土曜日

(1593) 『平家物語』(1-2) / 100分de名著

 
◆ 最新投稿情報
=====
(K0734) 「夢や目標を持つ老人」になるために <心の健康>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/05/k0734.html
=====
 


第1回  6日放送/ 8日再放送

  タイトル: 光と闇の物語
 

放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 


【テキストの項目】

(1)  『平家物語』全体のあらすじ
(2)   祇園精舎の鐘の声
(3)   平家上昇のきっかけ――殿上の闇討
(4)   光の貴族、闇の武士
(5)   武士は直感で考える

(6)   平家悪行のはじめ
(7)   重盛が追求した組織の持続可能性
(8)   中心軸としての機能を得た平家
(9)   清盛と重盛の対比――鹿ケ谷の陰謀
(10)『平家物語』を聴く武士たちへの教訓
 

【展開】

(1)  『平家物語』全体のあらすじ
(2)   祇園精舎の鐘の声
(3)   平家上昇のきっかけ――殿上の闇討
(4)   光の貴族、闇の武士
(5)   武士は直感で考える
 
 以上は、既に書きました。
 

(6)   平家悪行のはじめ

 重盛の次男である資盛が摂政である藤原基房の一行に行った無礼、ならびに、基房の従者たちへの清盛の仕打ちが、「平家悪行のはじめ」と言われています。『平家物語』においては、組織衰亡の原因は「驕り」と「悪行」であるという考えが示されています。天皇の代理である摂政に無礼を働いたり仕返しをしたりするのも、悪行に当てはまるのです。
 

(7)   重盛が追求した組織の持続可能性

 重盛は、滅びつつある平家にあってただひとり、組織の持続可能性を追求した人として描かれています。彼の言動や行動にならっていれば、平家は没落しなかったかもしれないという可能性を体現する人物です。
 重盛が体現する教訓が拠って立つところは儒教です。特に「忠」と「孝」という徳目が重要です。
 

(8)   中心軸としての機能を得た平家

 当時の婚姻の形態は、基本的に婿取婚でした。結婚すると、妻の家に夫が入るという形です。平家は財力を用いて、まさにこの婚姻形態を存分に利用して、天皇家や貴族のハブ(中心軸、結節点)となり、高い地位を築いていきました。
 

(9)   清盛と重盛の対比――鹿ケ谷の陰謀

 鹿ケ谷の陰謀を語るのに際し、『平家物語』では改めて清盛と重盛を対比して、その違いを際立たせます。清盛は激昂し、陰謀に加担した藤原成親を処刑、後白河法皇を幽閉しようとします。それに対して重盛は『尚書』『論語』『史記』、聖徳太子の十七条を引き、必死に計画を断念するよう訴えます。
 「ご運はもはや末になったと思われます。人の運命が傾きかける時には、必ず悪事を思い立つものです。」「当家の運命はまだ尽きてはいません、だからこそ謀反は現されたのです。これまでの法皇の莫大なご恩に背くことなく、ますます法皇に忠義を尽くせば、法皇もきっとわかってくれるはず。」
 

(10)『平家物語』を聴く武士たちへの教訓

 家光の時代の儒者、林羅山は朱子学をさらに日本流に解釈し直して、身分の差は生得のものであるという「上下定分の理」を主張し、重盛の主張する「忠」と「孝」をその論理的根拠として挙げました。その倫理観を教え込まれた武士たちが、(琵琶法師が『平家物語』を語る)平曲で重盛の切々たる言葉を聴けば、「そうだそうだ」と改めて思います。
 


<出典>
安田登(2019/5)、『平家物語』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

0 件のコメント:

コメントを投稿