2019年4月16日火曜日

(1572)  (番外編 1) 陸奥宗光『蹇蹇録』 / 「明治の50冊」

 
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(K0713)  寄り添いの本質は「自らが問われる」(3) / 「寄り添いに求められるもの」(8) <後見と電話相談>
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1.   どんな本か
1.1.  世界史的事件の経緯を詳述
1.2.  日本外交の記録として白眉
 
2.   最大の魅力

3.   主眼は、独仏露による三国干渉

4.   何故回想録を残したのか


5.   今日的意義
5.1.  現代の外交情報リテラシー
5.2.  朝鮮半島情勢
 


【展開】

1.   どんな本か

1.1.  世界史的事件の経緯を詳述
 極東の均衡に決定的な影響を与えた世界史的事件の経緯を詳述したのが当時の外相、陸奥宗光による『蹇蹇(けんけん)録』だ。
 
1.2.  日本外交の記録として白眉
 陸奥による回想録は「日本外交の記録として白眉」(北岡伸一東大名誉教授著『日本政治史』)と評価が高い。当時から政治指導者らに親しまれ、昭和58年発行の岩波文庫版は現在15刷。大学授業の必読文献に挙げられることもある。
 

2.   最大の魅力
 最大の魅力は、叙述のスタイルにある。陸奥は単なる公文書に基づく「実測図面」ではなく、「当時外交の写生絵画を作らんとするにあり」と記しており、実際、臨場感あふれる筆致などが彩りを添える。
 

3.   主眼は、独仏露による三国干渉
 『蹇蹇録』を通じて陸奥の主眼が、独仏露による三国干渉にあったのは明らかだろう。全21章のうち最後の3章分を三国干渉に当てたことからも、陸奥の“熱量”が伝わってくる。
 

4.   何故回想録を残したのか
 陸奥はなぜ回想録を残したのか。「三国干渉を失態と批判する声への反論の書をまとめ、次の政治的台頭を見据えていたからです」と話すのは、『陸奥宗光』(中公新書)を昨秋出版した明治学院大の佐々木雄一専任講師だ。
 

5.   今日的意義

5.1.  現代の外交情報リテラシー
 奇跡的に誕生したともいえる外交記録。佐々木氏は「脚色はあるが、中枢の政治指導者がどういう思考で決断したのか、その跡を知ることができ、現代の外交情報リテラシーを得るための体力作りにもつながる」と話す。
 
5.2.  朝鮮半島情勢
 19世紀末と同じく、朝鮮半島情勢が東アジアの政治環境を揺さぶる現在、陸奥の残した遺産は今も読み継がれるべきだろう。
 


【プロフィル】陸奥宗光(むつ・むねみつ)
 天保15(1844)年、現在の和歌山市に生まれる。幕末、海援隊に参加。明治期は兵庫県などの知事、大蔵省租税頭などを歴任。11年、西南戦争に乗じて政府転覆を謀ったとして5年間入獄、出獄後は外務省に入り駐米全権公使に就任。外相時代に日清戦争の処理に尽力したほか、明治維新以来の悲願だった不平等条約の改正(領事裁判権の撤廃)を実現した。30年8月、53歳で死去。


<引用>
陸奥宗光『蹇蹇録』 国益を見据えた外交記録
【明治の50冊】番外編 産経新聞(2019/04/01)
 
番外編 陸奥宗光『蹇蹇録』 国益を見据えた外交記録
https://www.sankei.com/life/news/190401/lif1904010008-n1.html

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