2019年2月16日土曜日

(1512)  オルテガ「大衆の反逆」(3-1) / 100分de名著

 
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第3回  18日放送/ 20日再放送

  タイトル:死者の民主主義
 

【テキストの項目】

(1)   「生きている死者」の存在
(2)   過去を無視するということ
(3)   人は後ろ向きに未来へ入っていく
(4)  「ご先祖になる」 ―― 柳田国男『先祖の話』
(5)   東日本大震災と「死者の問題」
(6)   死者と出会い直し、一緒に生きていく
 
(7)   立憲民主主義の主体は「死者」である
(8)   過去と向き合わない進歩は無意味である
(9)  「平凡であること」の非凡 ―― チェスタトン『正統とは何か』
(10)「遺影」の存在 ―― 死者からのまなざし
(11) 制約のなかに本質がある
(12) 背筋を伸ばして遠くから物事を眺める
 


【展開】

(1)  「生きている死者」の存在

 オルテガは、リベラリズムに基づいたデモクラシーを徹底して擁護した人物です。そして、その実現のために彼が重要視したのが、「生きている死者」の存在です。
 それまでヨーロッパ社会の秩序を支えてきたのは、「生きている死者」とともに歩むという感覚だった。死者は身体が失われたあとも私たちのそばにいて、この世の中を支えてくれていると考えられていた。
 

(2)   過去を無視するということ

 蓄積されてきた過去のさまざまな経験が生み出してきたはずの制度や規範などが、「古めかしい」という理由でうち捨てられていく。その結果、暴力を含む直接行動によってすべてを単純化していくような熱狂が巻き起こる。それが民主主義の危うい側面であるとオルテガは考えていました。
 

(3)   人は後ろ向きに未来へ入っていく

 手漕ぎボートをまっすぐ進ませるためには、進むのと逆の方向を正視しなくてはなりません。人間の時間の歩みもそれと同じで、過去を直視することによってこそ、まっすぐ前に進んでいくことができるのではないか。
 

(4)  「ご先祖になる」 ―― 柳田国男『先祖の話』

 柳田国男の『先祖の話』で、老人は「ご先祖になるつもりだ」と言います。
 「未来の私」は子孫にとっての先祖となり、家の安泰を支える重要な役割を担っている。そのために、「現在の私」は、先祖に対する供養と謝恩を繰り返すと同時に、自らがいつか先祖となり、家を守るのだろうことを意識しながら生きていく。
 

(5)   東日本大震災と「死者の問題」

 東日本大震災。テレビで見た、途方に暮れて立ち尽くしている被災者の姿。… なかには、目の前で大切な人が流されていった人も、手を伸ばしたけれど救うことができなかった人もいたでしょう。しかも多くの人は、お通夜やお葬式といった、その人が「死者」になっていく段階を踏むことさえできないでいた。人々は、「死者となった大切な人」の存在を、どう受け止めていいのか分からないという不安の中にいるのではないかと感じたのです。
 

(6)  死者と出会い直し、一緒に生きていく

 「死者と共に生きる」。大切な人の死は大きな喪失で、心の中にぽっかりと空いた穴に戸惑うけれど、死者はいなくなったわけではない。あとから必ず「出会い直し」がやってくる。その「出会い直し」を契機として、死者とともに生きていくことが、大切なのではないか。
 

以降は、後日書きます。
 
(7)   立憲民主主義の主体は「死者」である
(8)   過去と向き合わない進歩は無意味である
(9)  「平凡であること」の非凡 ―― チェスタトン『正統とは何か』
(10)「遺影」の存在 ―― 死者からのまなざし
(11) 制約のなかに本質がある
(12) 背筋を伸ばして遠くから物事を眺める


<出典>
中島岳志(2019/2)、オルテガ「大衆の反逆」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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