2019年1月25日金曜日

(1493)  マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」(4-2) / 100分de名著 

 
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(K0634)  居住支援法人制度(1) 法改正 <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/01/k0634-1.html
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第4回  28日放送/ 30日再放送

 タイトル:すれ違う愛
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25 
 
【テキストの項目】


(1)  レットとの結婚と、目覚めない性
(2)  すれ違うスカーレットとレット
(3)  霧の向こうに見えたものは
(4)  メラニーの死と、二組のセックスレス夫婦
(5)  レットとメラニーの絆、そして秘密
 
(6)  メラニーはすべてを知っていたのか
(7)  ミッチェルの執筆順から読み解く真相
(8)  仮面道化師の仮面がはがれるとき
(9)  自分の本当の心には誰も気づけない
(10)メラニーという虚空
 


【展開】

(1)  レットとの結婚と、目覚めない性
(2)  すれ違うスカーレットとレット
(3)  霧の向こうに見えたものは
(4)  メラニーの死と、二組のセックスレス夫婦
(5)  レットとメラニーの絆、そして秘密
以上は、既に書きました。
 

(6)  メラニーはすべてを知っていたのか

 メラニーは、アシュリとスカーレットの関係をどうやら気づかないまま、亡くなったようでした。
 

(7)  ミッチェルの執筆順から読み解く真相

 ミッチェルは、この長編小説を、結末(メラニーが他界するあたりからエンディングにかけて)から冒頭に向かって遡る形で書いていました。ミッチェルが理想とする悪を知らない慈しみの聖女として最初に描かれた(物語では最後の)メラニーは、小説を書き進めるにしたがって、そのキャラクターはだんだんと深化し、ときに分裂し、重層化していったのではないでしょうか。
 

(8)  仮面道化師の仮面がはがれるとき

 自分が本当に愛していたのはレットだったと気づき、走って家に帰ってきたスカーレット。しかし、そこにいたのは自分を優しく迎えてくれるレットではなく、疲れきって故郷を求める45歳の一人の男でした。
 それまでのレットは真の愛を隠してアウトローを気取り、それがゆえに女王スカーレットに辛辣な指摘をしても許されていた仮面道化師だったのではないでしょうか。その仮面がすり減って、はがれてしまいました。
 スカーレットは悲しみに打ちひしがれて、「いまレットを失うことを考えたら、気が狂ってしまう。とりあえず、あしたを考えよう」と「いつもの呪文」を唱えます。「あしたは今日とは別の日だから」

 “ Tomorrow is another day“
 このセリフを以て、物語は幕を閉じます。レットの愛がすり切れるというアンチクライマックス、この先の物語を読者の想像に委ねるオープンエンディングで、小説は終わります。
 

(9)  自分の本当の心には誰も気づけない

 主要登場人物の四人はそれぞれ、自分の本当の気持ちに気付けなかったという共通点があります。
 スカーレットはアシュリへの愛は本物だと思っていましたが、そうではなかったと気づきます。また、あれほどうっとうしく思っていたメラニーが、実は自分のたった一人の女友だちだったことにも気づきます。
 アシュリはメラニーの強さや真価を知らないまま、穏やかな彼女を自分の夢の一部にしてしまいました。
 レットは恋愛経験も豊富ですし、だいたいのことについては目端が利くのですが、自分とスカーレットの関係だけは先が読めませんでした。
 

(10)メラニーという虚空

 最後にメラニーです。メラニーはアシュリとスカーレットの関係を知っていたのかという問いの答えを改めて述べるならば、彼女は何も知らないと同時に、やはり全てを知り、全てを飲み込む黒のヒロインだった。
 


<出典>
鴻巣友季子(2019/1)、マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

 

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