2018年12月10日月曜日

(1446)  スピノザ「エチカ」(2-2) / 100分de名著

 
(1446)  スピノザ「エチカ」(2-2) / 100de名著
 


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(K0587)  お風呂につかる人ほど要介護リスク減 <介護>
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2回  10日放送/ 12日再放送
  タイトル:本質
 
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 


【テキストの項目】
(1)   コナトゥス――自分の存在を維持しようとする力
(2)   我々は「本質」をどうとらえているか
(3)  「変状」と「欲望」――-生態学的発想
(4)   人生を豊かにするためには
(5)  「自殺」と「死」について
(6)   私たちは表現の様態(モード)である
(7)   コナトゥスと社会
 

【展開】
(1)   コナトゥス――自分の存在を維持しようとする力
(2)   我々は「本質」をどうとらえているか


(3)  「変状」と「欲望」――-生態学的発想
(4)   人生を豊かにするためには
以上は、前回に書きました。
 
 
(5)  「自殺」と「死」について

   自殺
 コナトゥス(自分の存在を維持しようとする力)が働いていても、外部の原因が圧倒的であるき、人は自殺することがある。『自』殺と呼ばれているものであっても、自分が原因になっているのではありません。

  
 人間身体は死骸に変化する場合に限って死んだのだと認めなければならぬいかなる理由も存在しない[…]。(第四部定理三九備考) 本質は全く違うものに生まれ変わることがあり得、それはある種の死です。
 

(6)   私たちは表現の様態(モード)である

 「変状(物が何らかの形態や性質を帯びる事)」という概念が前回出てきましたが、「様態」と「属性も重要な概念です。

   様態
 神は無限であり外部がないのだから、私たちも含めた万物がその中にいるのだという話は先に出てきた。実は、それだけではなく、私たちも万物も神の一部でもあります。
 神を無限に広がる一枚のシーツにたとえるなら、シーツに皺が寄ると、さまざまな形や模様ができますが、それが変状としての個物(私たちも含めた万物)です。シーツを引っ張ると皺は消え、元の広がりに戻りますが、シーツは消えません。その皺の寄りようが、様態(「仕方」「やり方」「様式)です。神は自然であるだけでなく実体である一方、私たちを含む万物は実体ではありません。

   属性
 神という実体が変状して様態が生まれます。その様態は思惟の属性においても存在するし(たとえば人間の精神)、延長の属性においても存在するな(たとえば人間の身体)。思惟も延長も、いずれも神の属性であるからです。属性という言葉は、一般的には実体が持つ性質を意味しますが、スピノザはそこに独特の意味が込められています。スピノザはデカルトの「(心的なものと物体は完全に独立な物だとする)心身二元論」を批判しています。
 

(7)   コナトゥスと社会

 人はコナトゥスがうまく働いて生きている時、自由である。そのような自由な人たちは、互いに感謝し合い(第四部定理七一)、偽りの行動を避け常に信義をもって行動し(同定理七二)、国家の共通の法律を守ることを欲する(同定理七三証明)。一人一人が自由に生きられることこそ、社会が安定するために一番必要なことです。自分の存在に固執する力であるコナトゥスが社会と矛盾することはありません。
 


<出典>
國分功一郎(2018/12)、スピノザ「エチカ」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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