2018年12月8日土曜日

(1444)  スピノザ「エチカ」(2-1) / 100分de名著

 
(1444)  スピノザ「エチカ」(2-1) / 100de名著
 


      最新投稿情報
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(K0585)  認知症の人の生活行為の障害への対処 / 小川敬之教授(2)
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/12/k0585-2.html
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2回  10日放送/ 12日再放送
  タイトル:本質
 

【テキストの項目】

(1)   コナトゥス――自分の存在を維持しようとする力

(2)   我々は「本質」をどうとらえているか

(3)  「変状」と「欲望」――-生態学的発想

(4)   人生を豊かにするためには

(5)  「自殺」と「死」について

(6)   私たちは表現の容態(モード)である

(7)   コナトゥスと社会
 


【展開】

(1)   コナトゥス――自分の存在を維持しようとする力
 ある物が持つコナトゥスという名の力こそが、その物の「本質」であるとスピノザは考えました。「本質」が「力」であるというスピノザの考え方は、哲学史の観点から見ると、ここには非常に大きな概念の転換があるのです。
 コナトゥスを定義した定理は、「おのおのの物が自己の有に固執しようと努める努力はその物の現実的本質にほかならない。(第三部定理七)」
 「有」は「存在」とした方が分かりやすいでしょう。そして「努力」と訳されているのがコナトゥスです。
 

(2)   我々は「本質」をどうとらえているか
 古代ギリシャの哲学は「本質」を基本的に「形」ととらえていて、実は私たちの考え方はこれと無簡易ではありません。それに対してスピノザは、各個体が持っている力に注目しました。
 男性と女性というものは「形」で見ています。「あなたは女性であることを本質としているのだから、女性らしくありなさい」となります。
 それに対して「力」で見ると「この人は…に優れているのだから、こんな仕事があっているだろう」となります。その人の力の性質を見て、組み合わせを考えています。

「どのような性質の力を持った人が、どのような場所、どのような環境に生きているのか」それを具体的に考えた時にはじめて活動能力を高める組み合わせを探し当てることができるのです。
 
 
(3)  「変状」と「欲望」――-生態学的発想

   変状
 刺激による変化のことを、スピノザは「変状」と呼びます。もう少しスピノザに即して言うと、変状とは、ある物が何らかの刺激を受け、一定の形態や性質を帯びることを言います。『エチカ』を読むに当たって最重要の単語の一つです。

   欲望
 たとえば私の本質は、aという刺激によって、Aという状態になることを「決定される」(例:他人から嫌味を言われて不安定になる)。そしてそのAという状態は私に、「あることをなすよう」働きかけます(例:その不安定な状態を何とかしようというコナトゥスが働きます)。この働きかけが欲望です(例:それを忘れようという欲望が生まれる)。その欲望は本質そのものなのです。
 

(4)   人生を豊かにするためには

 人間の身体を多くの仕方で刺激するような状態にさせるもの、あるいは人間身体をして外部の物体を多くの仕方で刺激するのに適するようにさせるものは、人間にとって有益である。[…]これに反して身体のそうした適性を減少させるものは有害である。(第四部定理三八)
 多くの刺激に反応できるようになれば、それは必ずや人生を豊かにしてくれます。
 


以下については、次回に書きます。
(5)  「自殺」と「死」について
(6)   私たちは表現の容態(モード)である
(7)   コナトゥスと社会

 

 

<出典>

國分功一郎(2018/12)、スピノザ「エチカ」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

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