2018年10月22日月曜日

(1398)  (31) 幸徳秋水『廿世紀之怪物帝国主義』 / 「明治の50冊」

 
      最新投稿情報
=====
(K0539)  個人Blog 10月中旬リスト <サイト紹介>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/10/k0539-blog.html
=====
 

1.   “忘れさせられた名著”が、近年再び脚光を浴びている
2.   帝国主義とは悪用された「愛国心」と「軍国主義」が組み合わされたものだ
3.   同書の特徴は、その先進性にある
4.   秋水は冤罪だったとする研究が主流になっている
5.   目の前にある『怪物』の正体を知るためのきっかけになるのでは
 

【展開】
 
1.   “忘れさせられた名著”が、近年再び脚光を浴びている

===== 引用はじめ
 21世紀を生きる現代人から見れば、19世紀後半から20世紀前半に世界中を覆った「帝国主義」を否定することはたやすい。
 しかし、この思想が当たり前とされた時代に、その問題点を論理的に批判したのが思想家、幸徳秋水の第一作『廿(にじゅっ)世紀之(の)怪物帝国主義』だ。
 一時は発禁処分を受けた“忘れさせられた名著”は、その先駆的かつ現代にも通じる内容から、近年再び脚光を浴びている。
===== 引用おわり
 

2.   帝国主義とは悪用された「愛国心」と「軍国主義」が組み合わされたものだ

===== 引用はじめ
 同書で秋水は、日本の歴史や中国の故事、欧州の動向などを列挙し、帝国主義とは悪用された「愛国心」と「軍国主義」が組み合わされたものだと指摘。
 「少数の人間の欲望のために、多数の人間の幸福と利益を奪うものだ。(中略)社会の正義と道徳を傷つけ、世界の文明を破壊するものだ」と結論づけた。
===== 引用おわり
 

3.   同書の特徴は、その先進性にある

===== 引用はじめ
 同書の特徴は、その先進性にある。イギリスの経済学者ホブソンの『帝国主義論』(35年)、レーニンの『帝国主義』(大正6年)より前に帝国主義の複雑な構造を見抜き、警鐘を鳴らした。
 現代とは異なり、当時は〈帝国主義を奉持せざる者は、殆(ほとん)ど政事家にして政事家にあらず〉とされた時代。帝国主義者であることが政治家として当たり前の空気だったのだ。
===== 引用おわり
 

4.   秋水は冤罪だったとする研究が主流になっている

===== 引用はじめ
 秋水について「大逆事件の首謀者」という後ろ暗いイメージを持つ人は少なくない。だが、近年では秋水は冤罪(えんざい)だったとする研究が主流になっている。
 山田さん(*)は「秋水に不気味なイメージを持つ人はいると思うが、同書の文章からは自由や平等を追い求め、のびのびと生きようとしている青年の姿が浮かぶ」と語る。
===== 引用おわり

(*) 同書の現代語訳を手掛けた日本政治思想史研究者の山田博雄(ひろお)さん
 

5.   目の前にある『怪物』の正体を知るためのきっかけになるのでは

===== 引用はじめ
 「20世紀の『怪物』を通じて、21世紀の目の前にある『怪物』の正体を知るためのきっかけになるのでは。現在進行形で読み継がれていく本だと思う」
 山田さん(*)は、このように話している。
===== 引用おわり
 


【プロフィル】幸徳秋水(こうとく・しゅうすい)
 明治4年、高知県出身。本名は伝次郎。中江兆民に師事し、日刊紙「万朝報(よろずちょうほう)」の記者となる。34年、国内初の社会主義政党「社会民主党」を結成。43年、「大逆事件」を首謀した疑いで逮捕され、翌44年に39歳で刑死。主な著書に『社会主義神髄』など。
 

<引用>
幸徳秋水『廿世紀之怪物帝国主義』 「忘れさせられた」先進性
【明治の50冊】(31) 産経新聞(2018/10/08)
 
【明治の50冊】(31)幸徳秋水『廿世紀之怪物帝国主義』 「忘れさせられた」先進性
https://www.sankei.com/life/news/181008/lif1810080016-n1.html

0 件のコメント:

コメントを投稿