2018年9月10日月曜日

(1357)  (25) 勝海舟『氷川清話』 / 「明治の50冊」

 
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1.   勝海舟『氷川清話』とは
 
 
2.   どのような話が書かれているか

2.1.  話の規模が異様に大きい武勇伝
2.2.  人物批評も痛快だ
2.3.  酸いも甘いもかみ分けた人物だからこそ語れる人間くさい人生訓も硬軟織り交ぜてつづられている
 
 
3.   背景

3.1.  目立つほころび
3.2.  数少ない生存者
3.3.  中間管理職的な悲哀も味わった
 
 
4.   時代を超えた普遍性
 


【展開】
 
1.   勝海舟『氷川清話』とは
 語り手は、日本海軍の創始者にして、江戸城無血開城の立役者である勝海舟。維新から30年を経て、自身の来歴や人物評など縦横無尽に語った時事談話集『氷川清話(ひかわせいわ)』には、江戸っ子らしく歯にきぬ着せぬ小気味よさがあふれる。
 
2.   どのような話が書かれているか
 
2.1.  話の規模が異様に大きい武勇伝
 内容をひもとくと、まず自分の昔話が語られる。貧乏だった若い頃、親切な人に書物を工面してもらい感激した話、海軍の訓練で遭難してあやうく死にかけた話、丸腰で刺客に応対した話…。いわば武勇伝なのだが、話の規模が異様に大きく、講談でも聞いているような気にさせられる。
 
2.2.  人物批評も痛快だ
  西郷隆盛を「大人物」「維新元勲の筆頭」とベタ褒めするが、
  木戸孝允は「非常に小さい。しかし綿密な男」。
  坂本龍馬については「おれを殺しに来た奴(やつ)だが、なかなか人物さ」と評価している。
  その一方で、伊藤博文や大隈重信ら当世の政治家への評価は散々だ。
 
2.3.  酸いも甘いもかみ分けた人物だからこそ語れる人間くさい人生訓も硬軟織り交ぜてつづられている
 〈他人に功を立てさせよ〉
 〈潔癖と短気は日本人の短所〉
 〈(時間があるときは)市中をぶらつけ〉
 〈処世の秘訣は誠の一字〉
 
 
3.   背景

3.1.  目立つほころび
 痛烈な時局批判も多い。明治政府も30年たつと、ほころびが目立つ。官尊民卑に汚職の横行、政治家の空論…。
 
3.2.  数少ない生存者
 その頃には幕末の風雲をくぐり抜けた人は少なくなっており、数少ない生存者は政府の要職にあった。これらの要人を「先輩の尻馬」などと批判できる人物は少なかったため、紙面を読んだ多くの読者が留飲を下げるなど人気を博した。
 
3.3.  中間管理職的な悲哀も味わった
 維新後、かつて仕えた徳川慶喜に疎まれながらも徳川家の縮小再編成に努めた勝。いわば撤退戦の“殿(しんがり)”として力を尽くし、旧幕臣の援助に奔走するなど、中間管理職的な悲哀も味わった。
 

4.   時代を超えた普遍性
 明治の世を30年あまり生きた勝の言葉が、平成30年を生きる現代人の心にもずんと響くのは、時代を超えた普遍性に惹(ひ)きつけられるからだろう。
 


【プロフィル】勝海舟(かつ・かいしゅう)
 文政6(1823)年、旗本の家に生まれる。万延元(60)年、咸臨丸(かんりんまる)艦長として太平洋を横断。旧幕府側を代表して新政府軍と交渉し、江戸城を無血開城に導いた。維新後は参議兼海軍卿。在野期間を経て、明治21(88)年に枢密顧問官。明治の「ご意見番」でもあった。明治32(99)年、75歳で死去。
 


<引用>
勝海舟『氷川清話』 痛快な武勇伝、時局批判も痛烈
【明治の50冊】(25) 産経新聞(2018/09/03)
 
(25)勝海舟『氷川清話』 痛快な武勇伝、時局批判も痛烈
https://www.sankei.com/life/news/180820/lif1808200013-n1.html
写真は、このサイトからの転載。


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