2018年7月14日土曜日

(1299)  三位一体・三者構造・空位構造 / 河合隼雄スペシャル(3-2) / 100分de名著

 
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(K0440) 高齢者が働きやすい環境づくりを <高齢期の仕事>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/07/k0440.html
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放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
第3回 16日放送/18日再放送

  タイトル: 昔話と神話の深層
 


【第3回の目次】

(1)     日本人の深層心理と「物語」
(2)    「消え去る女性」が醸す、あわれの心性
(3)    「浦島太郎」と日本の文化の特質
(4)    「異類の女性」に自然との関係を見る
(5)     日本の三者構造とキリスト教の三位一体
(6)     日本人の自我を象徴する「意志する女性」
(7)    「隠された神々」にみる日本人の心の中の中空構造
 


【ここで取り上げる三つの構造】 (5)(7)に該当

A)   三位一体:父-子-精霊 / キリスト教
B)   三者構造:祖父―母―息子 / 日本
C)   中空構造:神-神-「無為の神」 / 日本
 

【展開】

A)   三位一体:父-子-精霊 / キリスト教

===== 引用はじめ
 三者構造の特性を明らかにするため、ここではキリスト教の「父-子-精霊」の三位一体と対比しています。三位一体は女性を排した構造です。同質なものが調和的に存在する“一体”が表現されているのは、神のイメージの中に不調和や対立があってはならないからと考えられます。
===== 引用おわり
 
 三位一体とは、

===== 引用はじめ
 創造主である父としての神、贖罪者・救世主(キリスト)として現れた子イエス、キリスト教徒を支え導く精霊という三つの位格(ペルソナ)は、本質において同一であり、唯一神はこの三つの実体をもつという考え方
===== 引用おわり
 

 日本の「三者構造」「中空構造」も「三」を基軸とするが、「三位一体」とは異なる

   女性は排除されず、むしろ重要な役割を担っている
   異質なものによって「三」が構成されており、“一体”にはなりえない
   不調和や対立を内包しながらも、柔軟で安定した構造になっている
 


B)   三者構造:祖父―母―息子 / 日本

===== 引用はじめ
 ここでは、すべてのものを包含する母を中心として、その強さを補償する祖父の存在が組み込まれています。母-息子の軸を破壊することなく、息子の男性性の弱さを祖父が背後からカバーしているのです。こうすることで、母-息子、祖父-母、祖父-息子という三つの関係が相互にうまく作用し、全体性が担保されているのが日本の三者構造なのです。
===== 引用おわり

(老人、若い女性、小さい男子 … 男性も女性も登場し、三世代が登場し、複雑な人間関係を形作っている。実際の社会に近い。それに対して、三位一体では、本来一体である「神・イエス・精霊」しか登場しない)
 
 これは、日本社会によく見られる構造ではないでしょうか

  会社で: 社長というのが社員に対してあまり直接にリーダーシップ的ではないのに対し、これを補完する存在として会長が社長の上から睨みを利かす
  家庭で: 母-息子の間で父(女性の夫)にあまり存在感がなくて、祖父の方が母(娘)と息子(孫)に対して父性を発揮する
  平安時代に: 藤原氏による支配も天皇の外祖父としての位置が重要だった


 「火男の話」を紐解くと、この三者構造が見えてくる。
 


C)   中空構造:神-神-「無為の神」 / 日本

===== 引用はじめ
 三組のトリオの中心に、名ばかりで実体がなく、いかなる力も働きももたない「無為の神」がいることに気づいた著者は、その一貫した構造を「中空構造」と名づけ、日本人の心の構造にも当てはまるのではないかと考えました。
 つまり、中心を「空」にしているからこそ、相対立する二つのもの――神話でいえば三神のうち活躍する二神、心の構造でいえば意識と無意識、男性性と女性性などを均衡させ、深刻な対立を回避する構造になっているのではないかというのです。また、中空は単なる緩衝地帯ではなく、様々なものを受けとめて多様性を生み出す源としても機能しているのではないかといいます。
===== 引用おわり
 
   カタミムスヒ、カミムスヒと共に高天原に成り出た三神の一人であるアメノミナカムシは、名前が紹介されているだけで、その後のことは何も語られていない
   高天原を治める最高神アマテラス、その弟で荒々しい神として知られるスサノヲと共に三神を成しているツクヨミは、父イザナギに夜の食国の統治を命じられた後の記述はない
   ホデリ(海幸彦)とホヲリ(山幸彦)の兄弟であるホスセリも、その後どこにも登場しない
 

出典

河合俊雄(2018/7)、河合隼雄スペシャル、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付写真は、この本からの転載


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