2018年6月3日日曜日

(1258) 『ペスト』第一段階 / アルベール・カミュ『ペスト』(1-2) / 100分de名著

 
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(K0399)  将来の認知症に備える(10) 後見と民事信託の関係(1) <脳の健康><後見と電話相談>
http://kagayakiken.blogspot.com/2018/06/k0399-101.html
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第1回  4日放送/ 6日再放送
  タイトル: 不条理の哲学
 
Eテレ。
放映は、   月曜日 午後 10:25~10:50
再放送は、  水曜日 午前 05:30~05:55
 及び        午後 00:00~00:25
 
 

【今回の目次】

(1)  貧困と戦争のなかで
(2)  不条理の哲学――『異邦人』から『ペスト』へ

(3)  天災と人間――アンチ・ヒューマニズム
(4)  官僚的な法と行政――追放と監禁
(5)  ペスト第一段階の人々――幸福と理念の対立
 


【展開】今回の投稿は、(3)後半、(4)(5)
 

(3)  天災と人間――アンチ・ヒューマニズム (後半)

人間、天災、反人間中心主義
===== 引用はじめ
 … 『ペスト』という小説は、人間がいかにして自由でありうるかという問いに対する試みでもあります。ここでしは天災という主題から、それに逆らうための反人間中心主義や、何よりも自由に大きな価値を置く哲学が導きだされてくるのです。
===== 引用おわり
 

(4)  官僚的な法と行政――追放と監禁

官僚的な法と行政

===== 引用はじめ
 医師リウーは県庁で会議を開いてもらい、そこでいかにも官僚的な姿勢を代表する医師会長リシャールと対立します。法と行政は、現実より形式的な言葉のほうを大切にします…
===== 引用おわり
 
追放と監禁

===== 引用はじめ
 県知事のもとに電文が届き、植民地総督府からの命令が下れ…「ペストの事態を宣言し、市を閉鎖せよ」。つまり、市を丸ごと閉鎖し、ペスト地区として隔離せよという命令です。

 病人や死者という直接の被害者だけでなく、残された多くの人々もまたある種の追放と監禁の状態に置かれ、そこから逃げだすことができなくなるのです。

 天災によって追放され、監禁された人々は、「みずからの現在に苛立ち、過去に敵対し、未来を奪われた」時間の監獄の囚人となってしまう。…

 災厄が起こったら連帯しなければ、と私たちは思うわけですが、それは容易なことではない。むしろ、単純な連帯を不可能にするほど悲惨な状態こそが災厄である…
===== 引用おわり
 
 行政のあり方、今も変わらないと思った。 「時間の監獄の囚人」「単純な連帯を不可能にするほど悲惨な状態」という言葉が印象に残った。
 


(5)  ペスト第一段階の人々――幸福と理念の対立

「個人の幸福とペストの抽象との陰鬱な戦い」という言葉も出てくる。
ペストの第一段階
===== 引用はじめ
 日常的な幸福にしがみこうとしても、災厄の絶対的な大きさに対してはどうにもならず、理念(*)を幸福に優先させなければならないことがある、ということです。
 さて、いまだ人々が個人的な幸福にしがみついているペストの第一段階はしばらく続きます。
===== 引用おわり
(*) ここでは「理念」ど「抽象」は同じ意味。
 
 具体的には、
===== 引用はじめ
 (新聞記者の)ランベールが恋人のもとら戻りたいと望んでいても(*1)、リウーは医師として、万が一にも感染の可能性のある彼をフランス本国に戻すことはできません(*2)
===== 引用おわり
(*1)幸福。病気に感染していないという証明書を書いてもらってパリに戻りたい
(*2)理念。証明書を発行できないと断った
 


 これから起こることの背景、およびその説明が続いている。
 


<出典>
中条省平(2018/6)、アルベール・カミュ『ペスト』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)
添付は、この本の表紙


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