2018年2月10日土曜日

(1144) 「シェア」の意味 / 規模縮小下のまちづくり / 「人口減少社会の構想」(13-1) (放送大学)


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(K0285)  生活の自立 <自立><定年後><インクルーシブ社会>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/02/k0285.html
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目標&ポイント

===== 引用はじめ
 人口減少に歯止めをかけることはできなくても、規模を縮めながら魅力的なまちを維持することは十分可能である。
 そのためには、空き地や空き家の効果的な活用が重要だが、権利が細分化された状態で規模が縮小することで「アンチコモンズの悲劇」に陥り、<空き>の活用を阻害している。
 インフォーマルなシェアと現代入会権のしくみにより、人口減少の適応策としての<空き>活用によるまちづくりの方向性を示す。
===== 引用おわり
 

<構成> 第13章 規模縮小下のまちづくり

1. 規模縮小下の<空き>活用の課題

2. 規模縮小下のコモンズ論

3. 現代入会権というかたち
 

 今回は、「シェア」について検討する。
 

 シェア、例えばシェアハウスやシェアオフィスには、二種類あるようだ。目的で分けると
(A) 節約のためのシェア
(B) 価値を創造するためのシェア
 

===== 引用はじめ
 仕事の空間のシェアについては、若いクリエーターやアーティスト、ベンチャーを起業した人などが、打合せスペースやデザイン・製作に必要な設備を共有するメリットや多くの人と知り合いになれる機会を期待してシェアオフィスに入居する。
 若手建築家たちが、現代における新たな空間の可能性を求めて手がけているのは、単に経済的にシェアせざるをえないケースと異なり、シェアに新たな価値を見出せるものである。
===== 引用おわり

これは明らかに、(B)のタイプのシェアである。
 

 両者の違いは、目的だけではない。

 一つ目の違いは、(A)は同質性を志向し、(B)は異質性を志向する。(A)では、気の合う仲間と親密なコミュニティを好んで形成するのに対し、(B)では、異質の人と刺激し合うことにより価値創造のチャンスを得る。

 二つ目の違いは、(A)は閉鎖性を志向し、(B)は開放性を志向する。(A)では共同体の中と外で断絶があるのに対し、(B)では、共同体の中と外に連続性がある。

 三浦展の言葉で言えば、(A)<共同体>で、(B)<共異体>に符合する。ハーヴェイの言葉で言えば、(A)<排他的コモンズ>(B)<都市コモンズ>ともいえる。公共空間論の文脈でいうなら、(A)<>の空間であり、(B)<>の空間である。
 

===== 引用はじめ
 例えば、『スタイリオウィズ上池台』は元社員寮を活用したシェアハウスである。共用スペースにプロ仕様のキッチンを備えている。ここでは、マルシェや料理教室など地域に開かれたイベントを行い、外とつながる機会を積極的につくっている。
 なぜ、<空き>のシェアは、他者を招き入れ、外に開かれたコミュニティを生成するのか。門脇によれば、近代計画に基づいた同質性が支配原理の空間にあって、<空き>はそうした支配的原理から逃れられる一種の隙間であり、異質性に居場所を与えるからである。
===== 引用おわり

「スタイリオ ウィズ 上池台:東京シェアハウス」
https://tokyosharehouse.com/jpn/house/detail/1335/
添付図は、このサイトから転載。

 

 <空き>、すなわち空き地や空き家は、価値を創造するためのシェアの場として位置づけることができ、この観点から<空き>(空き地・空き家)を効果的に活用できるチャンスがある。
 

 次々回には、アンチコモンズの悲劇、都市的入会権について検討する予定である。
 

出典
岡部明子、「第13章 規模縮小下のまちづくり」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)


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