2018年1月9日火曜日

(1113) 「涼しさ」と「しあわせ感」


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(K0254)  学習と趣味・趣味辞典の見直し / 大阪府高齢者大学(2) <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/01/k0254-2.html
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 前回、涼しさについて書いた。
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/111210.html
 

 どうも「涼しさ」と「しあわせ感」とは関係がありそうだ。
「涼しければ幸せ」という意味ではない。
 

===== 引用はじめ
 生理学において、室内における温冷感の評価として、暑い-暖かい-中立-涼しい-寒い、という5段階評価がよく用いられる。ほぼ定常的な室内の熱環境を対象としているが、この場合5段階尺度は一次元上に位置付けられていることを前提としている。これに対して、もともと蒸し暑い日本の中で、涼しいという感覚は、涼しい-寒いという一次元的な評価ではないと言われている。
===== 引用おわり
梅干野晁、「第10章 熱収支シミュレーションでまちの熱環境を予測・評価する」、川原靖弘・斎藤参郎、「ソーシャルシティ」、放送大学教材(‘17)

 

 「暑い-中立」は、「蒸し暑い」と「暑い」とを厳密に使い分けるなら、論理的に、温度という指標で一次元上に位置付けられる。(現実問題として「蒸し暑い」「暑い」を厳密に感じ分けられるかどうかは別の話)。「中立-寒い」も、温度という指標で一次元上に位置付けられる。

 しかし、「涼しい」は、単純に「中立」と「寒い」の間とは言えない。前回書いたように、「気温が周囲より低い」だけではなく、「適度な気流感がある(一定風速でなく、ゆるぎがある)」「周囲からの冷放熱がある」「相対湿度が低いこと(気温が28℃以上になると相対湿度が効いてくる)」なども関係する。涼しさは、「多元的」であり、「一次元上で表現できない」。「寒い」と「中立」の中間に温度設定をしたら自動的に「涼しい」という訳にはいかない。

 さらに時間も関係する。暑い屋外から冷房の効いた室内に入ると「涼しい」と感じるが、しばらく経つとその感覚は鈍る。また(これも前回書いたが)、寺田虎彦が言うように、“涼しさは瞬間の感覚である。持続すれば寒さに変わってしまう”。「非定常的」で「刹那」な特性がある。
 

 「しあわせ感」は「涼しさ」と同様の特性をもつと思った。

(1)「多元的」であり、「一次元上では表現できない」
 「お金持ちだ」「成功した」「健康だ」「親友がいる」「大切にされている」「愛する人がいる」「充実感がある」等々、いろいろなものが「しあわせ感」に関係するが、人によってウエイトが違うし、同じ人でも状況により変わるし、年をとるにつれても変わっていく。

(2) ”a1*x1+a2*x2+a3*x3 といった数式では表しにくいだろう
 ①要素間での干渉があるだろう。②要素(x1,x2,…)の大小により定数(a1,a2,…)が変わってしまう(つまり、線形モデルでない)だろう。③「これがあったからといって幸せになれないが、これがないと不幸せになる」といった現象も起こる。「涼しさ」にも「しあわせ感」にも当てはまりそうだ。実にコントロールしにくい。

(3)「非定常的」で「刹那」
 宝くじが当たって大金が手に入ったら「しあわせ感」を味わうが、長続きはしないのではないか。頑張ってもいつも叱られているなら、ちょっとしたことを誉めてもらったら「しあわせ感」を覚える。苦労して得られた成功は、その成功が小さくても「しあわせ感」をもたらす。ある一時点で「しあわせ感」が決まるのではなく、時間的な経緯が関係しそうだ。
 

 体感上の「涼しさ」を演出する技術は、高度である。その「涼しさ」を感じさせるやり方・ノウハウが、「しあわせ感」を得るために、ヒントになるのではないか。

 放送大学のテキストでは、「暑さマップHP」の研究を紹介している(添付図参照)。「しあわせ感研究」に役立ちそうな気がする。

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