2017年12月31日日曜日

(1104)  日本の15歳、「協力して問題解決する力」2位 OECD調査


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(K0245)  医療と宗教「終末期」講義 <臨死期>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0245.html
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先ずは、ごあいさつ。
今年、最後の投稿になります。

このブログは、始めてから646日目になりました(Facebookでは、1104日目)。
ご愛読いただき、ありがとうございます。
 

私の書く基準は
(1)     誰かの役に立てばうれしい
(2)     自分の為に役立つことを書き留める
です。

 人それぞれニーズが違うので「誰にも役立つ」は不可能です。ということは、「私には役立たない」があるでしょう。その時は読み飛ばしてください。でも、しばらくしたらまた舞い戻っていただくと嬉しいです。話題は、きっと変わっています。
 

 閲覧数を気にしていますが、そのためには書いていません。
 

 少しは、字数を減らしていきたいですが、それでも長いと思います。読みたければ最後まで読み、疲れたら途中でも止めてください。「誰にも役立つ」訳ではないので。
 

 以下、今年最後の本文です。
 

===== 引用はじめ
 15歳を対象に「他人と協力して問題を解決する能力」を測った経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査の結果が21日発表され、日本の得点は参加52カ国・地域中2位、機構加盟の32カ国中では1位だった。課題解決能力に重点を置く近年の教育現場の取り組みや、グループ活動が多く協調性を重視する日本流教育が好成績につながったようだ。
===== 引用おわり
日本経済新聞(2017/11/21
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23741640R21C17A1CR8000/
本文引用は、以下も同じ。
 

 喜ばしいことのように見えるが、浮かれていてはいけない。
 

(1) 周囲に気を配りすぎたり、仲間の立場に配慮しすぎたりして間違ってしまう傾向がある

===== 引用はじめ
 役割分担を決める場面では残る2人の希望を聞き、「なぜその分野がやりたいか説明して」と円滑な合意形成を促すと正解。正答率は日本57%、OECD平均41%だった。
 一方、自分が解くと約束した問題を別のメンバーが答えてしまった場面を取り上げた問題の正答率は低く、日本13%、OECD平均17%。相手の間違いを指摘すると正解だったが、「よくやった」「僕が解く問題を変える」など意見の衝突を避ける答えを選んだ生徒が多かった。
===== 引用おわり


(2) 協調に偏ると、競争に負ける可能性が高くなる

 競争より協調を重視するということは、競争を軽視することになるので、競争に負ける可能性が高くなる。
 

(3) 協調主義が成果をあげるとは限らない

 協調原理優位のメンバー構成なら協調により全体がレベルアップするが、競争原理優位のメンバー構成の中で一人協調性が高くても、成果に結びつくとは限らない。
 

 「協調することは良いことだ」と決めつけずに、競争原理・協調原理のバランスが、パートナーにおいてどうなっているか、集団全体でどうなっているかを把握し、どのように協調するのが適切かを判断し、行動しなければならない。日本人はここで間違えてきたのではないか。協調性があるというのは一つの特性であって、それ自体、良いとも悪いとも言えない。そこを押さえておかないと、異文化との交流がうまくいかないだろう。
 

なお、
===== 引用はじめ
 OECDは今回の調査で測れる力を「複数人で知識やスキルを出し合い、問題解決を試みる過程で効果的に取り組む力」と説明。あくまでコンピューター上の仮想人物との作業のため、実在の人物との共同作業の能力をどれだけ測れるかは「検討が必要」という。
===== 引用おわり
 

出典
「協力して解決す目力」は世界で2位なんだって?
産経新聞(2017/12/17)   添付図は、ここから転載。

2017年12月30日土曜日

(1103)  創作漢字コンテスト(第8回)(解答編)


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(K0244)  病院・施設から「まち」に出る 常陸大宮フロイデDAN <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0244.html
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先ずは、解答を示す。
(問題:http://kagayaki56.blogspot.jp/2017/12/1101.html

S1: フィギア・スケート、アイスダンス   S2: ティッシュ

A1: サラダ   A2: ラブレター   A3: ママとも

A4: おうふくきっぷ   A5: よろめく

B1: しょうぎ   B2: テスト   B3: かみざ

B4: はぶらし   B5: ふうりん

C1: きおくにございません   C2: ぬけがけ

C3: 聞き流す   C4: ごくろうさん   C5: むねきゅん

 

Sが最優秀賞、Aが一般、Bが高校生以下、Cが成語・慣用句。
今回の応募者の特徴は、B部門(高校生以下)が大量にあり、優秀な作品が多かった。

優秀作のS1は「正統派」。「冰(氷)の原字であり、水が凍って凝固した様子を象る」という知識がないと作れないし、読み取れない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AB%E9%83%A8
http://kanjitisiki.com/busyu/2kaku/11.html

S2は「デザイン派」。言われてみると、なるほど、箱に入ったティッシュペーパだ。
 

好みは人によって違うだろうが、私はB1とC5が好きだ。

私は、C1「認知症」、C2「メカケ」、C3「耳掃除」と読んだ。作者の意図がどうであれ、そのように読んでもいいのではないか。C4は左右が逆だろうと気になるのは、私の頭の固さだろうか。高校生以下には、私の言っていることが、わからないかもしれない。
 

頭の体操になった。頭脳が柔軟になりそうだ。
「認知症」の予防にも役立つのではないか。


出典                                     
「第8回 創作漢字コンテスト」
http://www.sankeisquare.com/event/kanjicontest_8th/index.html

2017年12月29日金曜日

(1102)  公的年金と社会的扶養 / 「家族と高齢社会の法」(10) (放送大学)


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(K0243)  医療職らが交流の場づくり 流山・コミュニティナース <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0243.html
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目標&ポイント

===== 引用はじめ
 本章では、家族による私的扶養に代って、高齢者の生活費の中核を支える社会保障制度、すなわち社会的扶養として発展してきた公的年金制度について勉強する。
 第一に、所得保障制度である公的年金制度を理解する前提として、社会保障制度の全体像を整理する。さらに、所得保障制度の1つとして重要な生活保障制度についても勉強する。
 第二に、公的年金制度を素材に、社会保障制度の主要な機能である所得再分配機能のうち世代間分配について勉強する。
 公的年金制度は、法改正の多い分野である。問題視されやすい論点の背景を理解することで、法改正に際して注意すべき論点を分析できる素養を身につけたい。
===== 引用おわり
 

<構成> 第10章 公的年金と社会的扶養

1. 社会保険法における所得保障制度
2. 公的年金
3. 公的年金制度をめぐる課題
 

 第3節「公的年金制度をめぐる課題」のみを取り上げる

(1) 未納・未加入問題
 国民年金の第1号被保険者のうち、「未納者だけでなく免除者、学生納付特例の対象者を合わせた人数」の割合が47.4%であり[(224+380+222)/1742=47.4%]、「年金保険料の未納者が5割に迫る」といった報道がある。実際上問題視すべき、公的年金制度全体の未納・未加入者は、全体の3.5%である[(224+9)/6721=3.5%]。公的年金加入者の74.1%を占める[(4039+932)/6713=74.1%]「第2号被保険者と第3被保険者」は事業者が納入するので、制度上、未納入になることはない(添付 図3)。問題はあるが、「5割」と負担をあおって何の益があるのか。
 

(2) 世代間公正
 公的年金制度には、世代間公正という大きな争点がある。
 日本の公的年金制度は、2014年の法改正で、既に生まれている世代がおおむね年金受給を終えるまでの100年間程度の期間で給付と負担の均衡を図る方式へと改められた。
 遡って2004年に、公的年金制度が大幅に改革された。保険料に上限を設け、国民年金(基礎年金)の国庫負担が1/3から1/2に引き上げられた。

 世代間公正を図る方法は、表3の通り、4通りある。どの方法も負担を伴う。
 例えば、「支給額を減らす」で直接的には「高齢世代の負担が増える」。しかし、主な収入源を公的年金とする高齢者が多いなか、受給額が減ると、困窮する高齢者が増える可能性がある。困窮した高齢者が増えれば、生活保護の受給者が増えかねない。生活保護の財源は税金であるため、生活保護の受給者の増加は、若・中年世代の負担額を意味する。

 支給開始年齢の引き上げは、見送られたままである。これには、1983年のアメリカ年金改革が参考になる。
 アメリカで支給開始年齢を65歳から67歳に引き上げた改革は、第一に、改革の実行開始時期を2003年とした。施行までに20年あったために、多くの人は年金の支給開始年齢まで働くなど、人生設計を準備できた。第二に、年金の繰り上げ受給を可能とする年齢は変えなかった。年金を早く受給したい人は、それまでと同様、受給額は減るもの、年金を早く受給できた。

 

(以下は、私の意見)

 少子高齢化が進む現実においては、全体の負担は必ず増える。負担増をある層だけに押し付けるわけにはいかない。若・中年が自分たちの今の負担を減らすことにより、高齢者対応のための資金を枯渇させ、自分たちが高齢者になったときの負担増加がより深刻になる。どこかで、それぞれが妥協せざるをえない。

 その中で、時間の余裕をもって変えていくことは、痛みを緩和する効果がある。支給開始年齢引き上げを漫然と引き延ばすことは、痛みを強くする。当面の人気ばかり気にして、政治家が改革に不作為であることは、許されないと思う。今の日本で施行までに20年の余裕の余裕をもてるのか。許容できる準備期間がどんどん短くなっており、変更の影響をどんどん深刻なものにしていると思う。

 

出典
関ふ佐子、「第10章 公的年金と社会的扶養」、川島志保・関ふ佐子、「家族と高齢社会の法」、放送大学教材(‘17)



(1101)  創作漢字コンテスト(第8回)(問題編)


      最新投稿情報
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(K0242) 移住ドラフト会議 <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0242.html
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 さて、添付図の17個の「創作漢字」は、どう読むか?
解答および、添付図のデータ出所は、次々回に書く予定。


ヒント

「漢字の創作作品には2系統が見られる。一つは、正統派、いま一つはデザイン派」

意味から読み解くか、イメージから読み解くか、
一方で行き詰ったら、他方で読み解きに挑戦してみよう。

また、
S1、S2、A1、A2、B2は、カタカナ。
C系列は「成語・慣用句部門」。C1は、明らかに文章。




2017年12月28日木曜日

(1100)  家族と暮らしの再構築(3) / 「人口減少社会の構想」(10-3)(放送大学)


      最新投稿情報   この内容と関連あり。
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(K0241) オールドタウン化への対応 <地域の再構築>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0241.html
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「第10章 家族と暮らしの再構築」の目次

1. 単身・長寿社会の光と影
2. 希少化する対人ケアと家族
3. 人々が助け合う仕組み作り

今回は、第3節。
 

 第1節で、「家族や親族・地域社会の変容が人々のくらしに不可欠のケア機能を衰退させ20世紀の工業化時代に編成されたくらしのセーフティ・ネットが不安定化している」「社会も家族も変わった。しかし、社会も個人の意識も、追従できていない」。 第2節で、「ケアラーは、健康状態や経済状態において、また、こころの不調・負担感・孤立感などの問題を抱えている」という実態をみてきた。

 困ったことになってきているし、これから更に困ったことになりそうだ、と認識できたとして、では、今、何をすればよいのか、これから何をしていかねばならないのか、という方へ目を向けていきたい。


 テキストをまとめ直した。

A.組織としての取り組み例

(1) 「集いの館」構想
(2) コンビニエンスストアの取り組み
(3) グループリビング

B.個人の改革

(1) “他人とうまくやっていく”心構えや知恵
(2) “生活ガバナンス”の力量
(3) “ジェンダー関係”の転換

C.今後の進むべき方向性

(1) 既存のジェンダー秩序や家族像や働き方をプラスに転じる
(2) 人々が働くことを支える積極的労働市場政策
(3) 暮らしの器である住宅の多様化
 


<各論>

 

A.組織としての取り組み例

(1)  「集いの館」構想

 公益財団法人生協総合研究所が「2050研究会」を立ち上げ、「集いの館」を核とする地域コミュニティを構想している。

===== 引用はじめ
研究会の趣旨・目的
 20134月~20152月に開催された「2050研究会」では、「生協が持続可能で、且つ地域社会から頼りにされる存在になるための提言」を、『2050年超高齢社会のコミュニティ構想』として刊行した。提言では、地域の人々が広く連携し課題解決をできる「集いの館」構想を打ち出すと共に、生協がどのように関われるのかを検討している。
===== 引用おわり
http://ccij.jp/activity/jyousetsu_nizi_2050.html
添付図 参照
 

(2) コンビニエンスストアの取り組み

===== 引用はじめ
 コンビニエンスストアは生活者の一番身近で営業をしている。ここでも、高齢化に向けた新たな取り組みが始まっている。地域と連携した見守りサービスや宅配・配食サービス、血糖値やコレステロール値検査、サロンスペース、社会インフラサービスを提供する店舗を目指す例も生まれている。
===== 引用おわり
 

(3) グループリビング

 家族に代わるオールタナティブな住まいの実践が少しずつ広がっている。共同出資をして、共同の住まいを実現するとりくみ(グループリビング)が全国に30か所ある。

===== 引用はじめ
 グループリビングとは、主に血縁関係のない高齢者が積極的に暮らし方にこだわり、寄り添って元気に老後をくらしていく「わが家」のことです。高齢者施設でもない共同住宅でもない、老後のもう一つの暮らし方なのです
 そこにある場所にただ住んでお世話をしてもらうのではなく、みんなで助け合って元気な暮らしをしていこう、と「暮らし」に重点を置いています。
===== 引用おわり
http://www.coco-shonan.jp/
添付図 参照

 

B.個人の改革

 家族と異なる共同生活の実践の中で、家族に代わる親密圏の構築に向けて解決すべき課題が見えてくる。

(1) 親族世帯ではないなかで“他人とうまくやっていく”心構えや知恵を身につける必要がある

(2) 自らの生活に対するガバナンス“生活ガバナンス”の力量を付けることも必要である

(3) オールタナティブな住まいは夫・妻関係における性役割分業を前提しておらず、“ジェンダー関係”の転換が必要である

 

C.今後の進むべき方向性

(1) 過去の生活構造へと回帰するのではなく、既存のジェンダー秩序や家族像や働き方を積極的に組み替え、プラスに転じる動きを作ることが、平等で公正な社会創りにつながる

(2) 人々が働くことを支える積極的労働市場政策をよりいっそう強化する必要がある

(3) 暮らしの器である住宅の多様化を進める必要もある。家族に代わる多様な集団が登場している。障がい者や認知症高齢者の共同生活の場であるグループホーム、高齢者などのコレクティブ・ハウスやグループリビング、シェアハウスなど

 

出典

宮本みち子、「10章 家族と暮らしの再構築」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)



2017年12月27日水曜日

(1099)  家族と暮らしの再構築(2) / 「人口減少社会の構想」(10-2)(放送大学)


      最新投稿情報
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(K0240) 催し物情報(18) <催し物紹介>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k024018.html
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「第10章 家族と暮らしの再構築」の目次

1. 単身・長寿社会の光と影
2. 希少化する対人ケアと家族
3. 人々が助け合う仕組み作り

今回は、第2節。

 

 NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンとケアラー連盟が4000世帯を対象に「ケアラー(家族などの無償の介護者)を支えるための実態調査」を2010年に実施した。

(添付図は、このパンフレットから転載)
 

 ケアラーとは、

要介護高齢者や身体的・知的・精神障がい者などの介護、
難病患者などの看病、
病児や障がい児の療育、
依存症やひきこもりなどの家族の知人の世話や気づかい
など、多様なケア役割を担っている人


 全体として、5世帯に1世帯がケアラーのいる世帯である。
ケアラーの2人に1人強は「介護」を
4人に1人は「看病」を
8人に1人は「子どもの療育」を
5人に4人は「世話」を
7人に5人は「気づかい」など 多様なケアを二重三重に行っている。


 ケアラーは、健康状態や経済状態において、また、こころの不調・負担感・孤立感などの問題を抱えている。
 

 日本ケアラー連盟は、ケアをする側とされる側両方の権利擁護の視点が必要だが、特に日本にはケアラーの権利擁護の視点はなく、支援が制度化されていない点で国際的にみても遅れていると指摘している。

「ケアラーを地域で支えるツールとしくみ」
http://carersjapan.com/carereresearch2012.html

 

 上野千鶴子は家族というものの役割の変化を次のように表現している。

一対の男女の「性の絆」を中軸にして子どもの養育を担う近代家族は、理論的にも実践的にも力尽きているにもかかわらず、その家族に依拠して社会の子育て機能を維持しようと思えば、破綻することは目に見えている。
 

出典
宮本みち子、「10章 家族と暮らしの再構築」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)




2017年12月26日火曜日

(1098)  趣味辞典 ~ 全500趣味 ~ / 趣味とは何か(趣味の5要素)


      最新投稿情報 (下でも紹介している)
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(K0239)  趣味辞典 ~ 全500趣味 ~ / 趣味(14) 趣味の辞典(7) / トライアングル理論(27) <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0239-500-14-727.html
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趣味辞典~全500趣味~(編集:藤波進 2017/12/16)を開示する。
  ©2017 藤波進


 

ここでは、【趣味の5要素】について述べる。

【趣味とは何か(10種類の趣味)】については、
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0239-500-14-727.html
を参照してください。

 

【趣味の5要素】

1. 楽しさ

2. 自己目的性

3. 自発性(無拘束性)

4. 本能性

5. 本人依存性

 

<各論>

 

1. 楽しさ

(1) 楽しくなければ趣味ではない

(2) 高次の楽しさと低次の楽しさがある
 習い事をしていて厳しい師匠の指導が辛くて泣いてしまったけれど、それでも習い続けたいなら、低次の楽しさはないけれど、高次の楽しさはある

(3) 楽しいからと言って趣味とは限らない
 仕事が楽しくて「仕事が趣味」という人もいるが、それは趣味ではない(後述)
 

2. 自己目的性

(1) 趣味をしていて結果としてご利益があることがある。例えば、ラジオ体操をしていたら健康になった

(2) しかし、健康を目的にラジオ体操をするなら、それは趣味ではなく、健康増進のための手段である

(3) 「何故、その趣味ですか?」という問に対して、「その趣味が楽しいからです」と答えるのが、本来の趣味である
 

3. 自発性(無拘束性)

(1) 原則として、強制されるものは趣味ではない。「したいからする」のが趣味である

(2) ただし、まったく無強制とは限らない
 部活で楽しむ野球は趣味で、楽しくて練習にも参加する。練習への参加は、義務付けられているが、野球をするのが楽しくて参加するなら趣味である。しかし、練習参加の強制が楽しさ(高次の楽しさを含む)を上回って苦痛になったら、その野球は趣味ではなくなる。
 

4. 本能性

(1) 本来、趣味は生物としての本能に結びついたものではないか。例えば、五感に結びつく趣味、感性を揺さぶられる趣味、体を動かそうとする趣味、闘争心をかきたてられる趣味、仲間と楽しみを共にする趣味、集めようとする趣味、知ろうとする趣味、等々。これらは内から湧きおこる本能の欲求と直結している。

(2) ただし、「生物としての本能」とは何かを定義しないと、この仮説は証明できない(ここでは追求しない)

 

5. 本人依存性

(1) 本人の取り組み方によって趣味になったり趣味でなくなったりするものがある
 仕事や勉強の為に取り組む語学は趣味でないが、そのものが楽しくて取り組む語学は趣味である。「語学は趣味か」という一般論としての問には、YesともNoとも答えられない

(2) 金が絡むと趣味の境界が明確でなくなる
 宝くじ、競馬の馬券、テレビショッピングなど金が絡んでくると、趣味といってもある限度を超えると、それは趣味ではなくなる。境界線は、明確ではない。本人がどこまでコントロールできるかが大切である(なお、賭けマージャンは違法)

(3) 本人の取り組みに拘わらず趣味でないものがある
 仕事は仕事であり、「仕事が趣味」ではない。「趣味的に仕事をする」ことはありえるが、度を超すと仕事ではなくなる。仕事と趣味は、追い詰めていくと両立しえない。「ボランティア」も同様。

2017年12月25日月曜日

(1097)  家族と暮らしの再構築(1) / 「人口減少社会の構想」(10-1)(放送大学)


      最新投稿情報
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(K0231)  趣味(11) 趣味の辞典(4) / トライアングル理論(24) <定年後>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/12/k0238-13-626.html
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目標&ポイント
===== 引用はじめ
 家族や親族・地域社会の変容が人々のくらしに不可欠のケア機能を衰退させ20世紀の工業化時代に編成されたくらしのセーフティ・ネットが不安定化していることを、リスクの多様化・階層化・普遍化という特徴で理解する。
 21世紀のあらたな生活課題を踏まえて、家族とくらしを支える生活システムと地域コミュニティを展望する。
===== 引用おわり
 

「第10章 家族と暮らしの再構築」の目次

1. 単身・長寿社会の光と影
2. 希少化する対人ケアと家族
3. 人々が助け合う仕組み作り
 

 大切なところなので、分けて書く。
先ず、1.単身・長寿社会の光と影
 

 単身化には選択的単身化(光)と制約としての単身化(影)の両面がある。

  安定した仕事と収入があり、豊かな社会関係に恵まれた単身者の一群がある一方で、
  希薄化した家族関係しかもつことができず、経済的不安を抱え、社会的にも孤立した状態の一群がある。

 長寿社会とは、多くの人が長寿を享受できる社会なので、基本的には光だと思うが、
 では、なぜ、何が、どのように影になっているのか。

(1) 少子高齢化が加速化し、家族の多様化が進むにしたがって、従来の家族福祉と社会福祉で人々の生活を支えることができなくなった

(2) 2000年代に入ると一気に単身者の増加と家族の多様化という形で現れ、性役割分業体制がもはや前提とならなくなった。その趨勢は、21世紀まで続くだろう

性役割分業体制:子どもの養育や看護や介護の必要なメンバーの世話は、支払いを求めない労働(無報酬労働)で、市場サービスと本質的に異なっている。このような労働の大半は、性役割分業体制のもとで、もっぱら女性に負わされてきた。
 

 二つの矛盾が矛盾のまま残っていることに問題の難しさがある。
 

(1-A) 家族や親族とのわずらわしい関係は好まず、ほどほどの距離を取ることを望んでいる(図101)一方、

(1-B) 家族の大切さを感じる割合が増加し続けている(図102

 

(2-A) 家族を拘束と感じ自由になりたいと願う人々が増加しているにもかかわらず、

(2-B) 家族以外の社会関係は著しく希薄で(図103)、いざという時に家族以外に頼ることができる人がいない人々が少なくない(図104
 

 (2-B)の理由として、次の分析は、当たっていると思う。

===== 引用はじめ
 家族以外の社会関係が広がらないのは、高度経済成長期の社会構造・生活構造の特徴と深くかかわっている。こ時代に、伝統的な親族共同体や地縁関係が崩れ、それに代わって、家族とカイシャ(会社)が現れた。
 農村から都市へ移住した人々が、「カイシャ」と「(核)家族」という、いわば“都市の中のムラ社会”を作り、内側にひきこもっていったのである。
 家族は、稼ぎ手としての夫・父の賃金と妻・母の家事役割で支えられるようになった。子どもの教育に特化した家族は親族集団や地縁集団との関係を断ち切り、閉鎖的な家族集団へと向かった。人々の意識は、配偶者と子ども、そして勤務先の人間関係へと集中し、それ以外の社会関係への関心が薄れていった。
===== 引用おわり
 

 社会も家族も変わった。しかし、社会も個人の意識も、追従できていない。

 

出典
宮本みち子、「10章 家族と暮らしの再構築」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)