2017年9月2日土曜日

(983) 今なぜアーレントを読むか / 『全体主義の起原』(ハンナ・アーレント_) (0)


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(K0124)  個人Blog 8月下旬リスト <サイト紹介>
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私は、本の名前も作者も知らなかった。
しかし、解説を読んで、これは名著だと思った。
 

(1) ハンナ・アーレント

 ハンナ・アーレントは、1906年にドイツで生まれ、主にアメリカで活躍した政治学者である。第二次世界大戦後、特に1950年代から60年代にかけて西欧諸国の政治思想に大きな影響を与えた。その著書や言説は政治哲学の枠を超えて、今も様々なジャンルで取り上げられている。
 

(2) アーレントが『全体主義の起原』を書いた経緯

 ドイツ系のユダヤ人であるアーレントは、1933年にナチスが政権を獲得すると、迫害を逃れるためパリを経由してアメリカに亡命。そのなかで、自分が「常識」だと思っていたことが覆る、という体験をした。こうした体験に基づいて1951年に発表されたのが『全体主義の起原』である。

 
(3) 『全体主義の起原』

 全体主義は、いかにして起こり、なぜ誰も止められなかったのか。この茫漠とした現象の起原と機序を、「歴史的」考察によって突き止めようと試みたのが『全体主義の起原』である。その起源は自分たちの足元にあること――西欧の近代の歴史と深く結びついているということを明らかにした。
 

(4) 全体主義

 全体主義という言葉は、第二次世界大戦中からドイツのナチズムやソ連のスターリン主義などを形容するものとして、ネガティブなニュアンスで用いられていたが、漠然としたイメージにすぎなかった。
 

(5) 『エルサレムのアイヒマン』

 アイヒマンはナチス親衛隊の中佐で、ユダヤ人虐殺計画を実務的に取り仕切る立場にあった人物である。アーレントが目の当たりにしたアイヒマンは、多くの人が想像し、期待していた「いかにも悪人」然とした人物ではなかった。
 

(6) アーレントが指摘したかったこと

 アーレントが指摘したかったのは、ヒトラーやアイヒマンといった人物たちの特殊性ではなく、むしろ社会の中で拠りどころを失った「大衆」のメンタリティである。現実世界の不安に耐えられなくなった大衆が「安住できる世界観」を求め、吸い寄せられていく――その過程を、アーレントは全体主義の起原として重視した。

 

2冊の本を枕とし、4回にわたって放送される。

(1) 異分子排除のメカニズム
 9月4日放送/9月6日再放送
 『全体主義の起原』第一巻~「反ユダヤ主義」

(2) 帝国主義が生んだ「人種思想」
 9月11日放送/9月13日再放送
 『全体主義の起原』第二巻~「帝国主義」

(3) 「世界観」が大衆を動員する
 9月18日放送/9月20日再放送
 『全体主義の起原』第三巻~「全体主義」

(4) 悪は「陳腐」である
 9月25日放送/9月27日再放送
 『エルサレムのアイヒマン』~悪の陳腐さについての報告

 
100分で名著』 Eテレ 放映
月曜日   午後10:2510:50
()水曜日 午前05:3005:55、午後00:0000:25

 

 

出典:

仲正昌樹、ハンナ・アーレント『全体主義の起原』、「100DEで名著」、NHKテキスト(2017/9)

 

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