2017年7月31日月曜日

(951) 学生とアルバイト / 子供・若者の文化と教育(13)


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 どのような変遷を経てアルバイトが、学生のあいだに浸透し、いかなる意味をもつようになってきたのかを、印刷教材では、歴史的に考察するとともに、番組ではゲスト講師を招き、現在の問題について、若者の就労問題との関係で考える。
 

【目次】 第13章 学生とアルバイト

1. 「アルバイト」という言葉の登場
2.  学生アルバイトの現状
3.  戦後学生アルバイトの歴史
4.  現代の学生にとってのアルバイトの意義
 

<各論>

1. 「アルバイト」という言葉の登場

(1)  アルバイトというドイツ語は基本的には、正規の、つまり常勤の労働・職業、もしくは研究、論文作成、労作などの知的作業・活動、といった意味しかもっていない
(2)  終戦後の混乱のなかで生きていくために、エリートとしての自負を、かなぐり捨てなければならないような職種の労働に、不本意ながらも、従事せざるをえなくなった
(3)  「内職」とか「苦学生」とかいったことばには、暗い感じがつきまとっていた。それに比べて、カタカナ言葉であることもあって、「アルバイト」という単語は明るい語感をもつ
 


2.  学生アルバイトの現状

 大学での五つの活動、「大学の授業」「授業関連の学習(予習・復習)」「授業外の学習」「文化・体育等のサークル活動」「バイト等の就労活動」を比較すると、アルバイトは、大学の授業に次いで、学生が時間を投入している活動になっている。
 


3.  戦後学生アルバイトの歴史

(1)  戦後日本の学生アルバイトは、その経験者の規模が増加してきたのみならず、その内容も臨時の短期的なものから、授業期間中の恒常的なものへと性格転換する形で、拡大してきた
(2)  1950年代初め頃までは、「パンのためのアルバイト」が主流で、アルバイト従事比率は減少傾向だった。1950年代以降、「小遣い稼ぎのためのアルバイト」が主流になり、アルバイト従事比率は増加傾向になった
(3)  1960年代以降の高度経済成長期に、「企業サイドの要因」もあり、学生アルバイトが拡大した。職種としては、1951年に14.9%だった「軽労働」は、2006年には65.9%に達した。ちなみに1951年に最も多かった学生アルバイト職種は「家庭教師(塾講師を含む)」37.1%だったが、その後低下して1968年には25%程度の水準に落ち着いた
(4)  1970年ごろから、ファースト・フード店やコンビニエンス・ストアなどを中心とした、初めからアルバイト雇用を前提とする経営が増大した。学生アルバイトは、臨時の短期的なものから、授業期間中の恒常的なものへと変化を遂げた

 

4.  現代の学生にとってのアルバイトの意義

(1)  娯楽・レジャーが、いまやほとんどすべての学生にとって、「健康で文化的な最低限度の大学生活」を送る上での必需品・標準装備とみなされるようになっており、「小遣い稼ぎのアルバイト」だとしても、経済的意義をもっている
(2)  アルバイトでの労働内容は、多くの場合、単純作業であり、就業体験としては役に立たない。一方、アルバイト目的として「社会勉強のため」という理由をあげる学生が増えている。
 


引用
岩田弘三「第13章 学生とアルバイト」
竹内清・岩田弘三編、子供・若者の文化と教育、放送大学教材(2011)
図 大学生のアルバイト従事比率


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