2017年2月3日金曜日

(772) QOLとLOL / がんになった“僧医”の遺言(3)


 こころの時代

「 いのちの苦しみに向き合って
~ がんになった“僧医”の遺言 ~ 」

  2017/1/29 Eテレ 放映済み
  24日土曜  NHKEテレ1  午後100分~ 午後200分 再放送

を視聴して思ったことを書いている。

 

前々回(770)、「消去法でいくと、悪性新生物(がん)が一番良いことになる」と書いた。もしも今後、私ががんを宣告されたら、「あの時ああ書いたから、がんになってしまったのだろうか」と悔やみそうだ。なりたい病気など、あるわけがない。

 「健康長寿」が一番よくて、そのため養生する。この前提を省いていた。論点は、「健康長寿を望み努力しても、叶えられないことがある。その時どう生きるか」である。

 
1. 突然死
2. 短期の余命宣告
3. 自立の喪失

 
 このうち「1.突然死」は、死んでしまうのだから、「その後どう生きるか」は、残された人の課題であっても、本人の課題ではない。「2.短期の余命宣告」「3.自立の喪失」の後の生き方について考えようとしている。

 「2.短期の余命宣告」「3.自立の喪失」といった話題は暗いから考えたくないというのが普通だろう。しかし私は、その後もしっかり生きたい。それが人生の『有終の美』であろう。

 
 この問題を考えるとき、LOL(Length of Life ;命の長さ)だけでなくQOL(Quality of Life ;生活と人生の質)との「取引」を考慮にいれることが大切だと思った。実はこの“LOL”は私の造語だと思っていたのだが、調べてみると、残念ながら、先に使われていた。

===== 引用 はじめ(要点は後述。読み飛ばしてていただいて大丈夫です)

QOL vs LOL

Cancer has a study looking at cancer patients' preferences for quality vs. quantity of life. These data (which come from a larger, ongoing controlled trial involving a decision-making support intervention) come from ~450 patients with metastatic cancer (unfortunately not a very representative population: median age 60 years, 91% white, 70% with some college education) and were gathered at the time of their initial visit with a medical oncologist. They were asked how they value quality of life vs. length of life (e.g. QOL is all that matters, QOL is more important but LOL matters, LOL is more important but QOL matters, LOL is all that matters). Findings were relatively straight forward: most patients viewed QOL as more important than LOL (15% said only QOL was important, 65% said more so), with older, more educated, and white patients trending more towards QOL than others.

===== 引用 おわり
http://www.pallimed.org/2008/12/qol-vs-lol.html

 
日本語で探すと、
===== 引用 はじめ

老化制御学系

高齢者社会での国民のLOL (Length of Life ;長命)QOL (Quality of Life ;生活と人生の質)の向上に関する教育研究を行うとともに加齢のメカニズムの解明や高齢者の疾患の病因、病態及び治療の教育研究を行う

===== 引用 おわり
http://www.tmd.ac.jp/Graduate_School/ken_naiyou05.html

 

がん(Cancer)患者においては、LOL(長命)よりQOL(生活と人生の質)を重視する傾向がある。

前回(771)Facebookで「検査も治療も断わって亡くなった母が、治療を選択してもう少し長生きしてくれていたらと思う事も有ります。今まで封印してきた気持ちです。」というコメントをいただき、私は「「長く生きることは良いことだ」と言い切れないのが「生きる」ことだと思います。私は、死とは、一つの救いだと思っています。生き続けることと、それを終わらせるタイミング、お母様は最善のタイミングを選ばれたのではないかなと感じています。」と返信した。

 
QOLを考慮しないLOLは必ずしも幸福ではない。QOLも考慮に入れて、LOLを考えることが大切だと思う。

 
続く。

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