2016年11月14日月曜日

(692) 昔話と童話 / 原典『昔ばなし』(1)


Facebookの “(684) アンデルセン童話  「人魚姫」「赤い靴」” (11/6投稿)
に関するコメントで次のようなやりとりがあった。

 
===== 引用 はじめ

Q :
西洋独特の恐ろしさが隠れている様に思えます。日本むかし話はいかに単純で素直かですね。むかし話も童話ですね?


A :
 「昔話は作者不明、童話は作者がいる」らしいです。

・ 日本の昔話は、昔話
・ アンデルセン童話は、童話
・ グリム童話は、昔話に基づく童話

(グリム童話というものは、グリム兄弟が昔話などを元にして作っているというものなので、ルーツは昔話)

===== 引用 おわり

 

私の回答に間違いはないと思うが、
このまま放置するのは気になるので、コメントを追加する。

(1)   昔話と童話は違う

(2)   「日本むかし話は、単純で素直」とは、単純に言えない

(3)   子どもには二種類の読書が必要ではないか

 

<各論>

(1)   昔話と童話は違う

「昔話を元にして童話に仕立てたものが多い」という関係以上の関係はないと思う。昔話は本来、子供向けのものではない。昔話は、数ある物語のうち、生き残ったものである。生き残ったのは、その中に真実があるからだろう。真実は、ポンと直接そのまま子どもに投げかけられる代物ではない。

 
(2)   「日本むかし話は、単純で素直」とは、単純に言えない

 本屋を探したら、すぐ見つかった


大人もぞっとする 原典『日本昔ばなし』
  「毒消し」されてきた残忍と性虐と狂気
由良弥生、王様文庫
 

===== 引用 はじめ (表紙折り返し)

誰の心の奥底にもある、残忍性と禁断(タブー)

 それは理性の力でどんなに蓋をしようとしても、
隙間から漏れ出し、生き延びてしまう…

『日本昔ばなし』の中の子殺しや子捨て、山姥(ヤマンバ)の子ども食いの話、
そして奔放な性の匂い表立って語るのがはばかれるような
人間の暗い面を炙り出す話には『グリム童話』同様、
人間の深層心理として世界に共通する面があります。

日本の風土にじっとりとしみ込んだ人間の本性の恐ろしさと
巧みな知恵、その豊かな「泉」を心ゆくまで堪能してください。

===== 引用 おわり

 

(3)   子どもには二種類の読書が必要ではないか

一つは、図書館などで子どもが一人で読む、「毒消しされた」童話
もう一つは、親や教師や大人と読む、「毒消しされていない」昔話

 
残酷な読書や性的な読書が子どもから遠ざけられているのではないか
しかし、現実は、残酷なものもあり、性的なものもある

その準備としての読書は有益であり、必要でもあるのだが、
それらを排除してしまった結果、成人へ移行するときに不適合が起こっているのではないか。

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