2016年9月19日月曜日

(635)  近松門左衛門「曽根崎心中」


2016914日(水)放映済み BS朝日「あらすじ名作劇場」

 
  あらすじは、後ろの方に書いてある

 
近松門左衛門「曽根崎心中」

(1)   ①現実に心中があり、②歌舞伎・浄瑠璃の中に心中があり、③現実に心中があった

(2)   ①心中多発という社会現象を巻き起こし、②上演禁止となり、③法律が変わった

(3)   社会現象の源は、①明快単純なストーリー、②近松の文章力、③歌舞伎・浄瑠璃の訴求力にあったのではないか

 
各論

(1)   ①現実に心中があり、②歌舞伎・浄瑠璃の中に心中があり、③現実に心中があった

    元禄16年(170347日、大阪の曽根崎・露(つゆ)天神の森で心中事件が起こった。

    この心中事件は、すぐさま歌舞伎の世話狂言に仕立てられて、京都で舞台にかけられた。「この心中を浄瑠璃にしてくれ」と依頼された近松は、わずか20日~25日で台本を書き上げ、心中からちょうど1ヶ月後の5月7日、竹本座で初めての心中物「曽根崎心中」を上演した。

    お初・徳兵衛の純粋で、ひたむきな心情や抜き差しならぬ葛藤が評判を呼び、興行が始まると、たちまち物すごい人気を呼んで大当たり。その結果、来世で二人の愛が結ばれることを誓った心中事件が多発した

 

(2)   ①心中多発という社会現象を巻き起こし、②上演禁止となり、③法律が変わった

    心中ものの流行の結果、来世で二人の愛が結ばれることを誓った心中事件が多発した

    江戸幕府は享保8年(1723年)より上演や脚本の執筆や発行を禁止した

    心中者の一方が生存した場合は極刑を申し渡し、双方生存の場合は晒し者にしたのち市民権を奪い、心中死した遺体は親族に下げ渡さず一切の葬儀を禁ずるなど、心中事件に対して苛烈な処置を行った

 

(3)     社会現象の源は、①明快単純なストーリー、②近松の文章力、③歌舞伎・浄瑠璃の訴求力にあるのではないか

    若いお初と徳兵衛の思い込んだら死ぬまでよという純粋な恋心を、近松は脇道せずにただひたすら書き込んだ

    その優れた名文の最たるものが、「お初・徳兵衛」道行の文章です。「この世の名残、夜も名残、死にに行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜、一足づつに消えて行く、夢の夢こそあはれなれ。あれ数ふれば暁の、七つの時が六つ鳴りて、残る一つが今生の、鐘の響きの聞き納め、寂滅為楽と響くなりー」2人が手に手をとって死出の旅に向かう冒頭の部分。七五調の名調子が続きます。ぞっとするような、すごい劇的表現です。情緒的な感覚がみなぎっています。

    近松の巧みな文句が浄瑠璃太夫の語りに乗って、鮮やかなイメージを浮かび上がらせ、語りが生む現実世界がありありと眼前に広がったのです。


(文・写真の引用元は、前出)

 

 
『曾根崎心中』

==== あらすじ はじめ

西国三十三所巡礼を終えたお初は(この観音めぐりのシーンは現在は割愛される場合が多い)、醤油屋の手代・徳兵衛と最後の観音巡礼の地「生玉の社」で偶然の再会をする。二人は巡礼以前から恋し合う仲であった。巡礼中に便りのなかったことを責めるお初に、会えない間に自分は大変な目にあったのだと徳兵衛は語る。

徳兵衛は、実の叔父の家で丁稚奉公をしてきたが、誠実に働くことから信頼を得て娘(徳兵衛には従妹)と結婚させて店を持たせようとの話が出てきた。徳兵衛はお初がいるからと断ったが、徳兵衛が知らないうちに叔父が勝手に話を進め、徳兵衛の継母相手に結納金を入れるところまで済ませてしまう。なおも結婚を固辞する徳兵衛にとうとう叔父は怒りだし、勘当を言い渡した。その中身は商売などさせない、大阪から出て行け、付け払いで買った服の代金を7日以内に返せというものであった。徳兵衛はやっとのことで継母から結納金を取り返すが、それを叔父に返済する段になって、どうしても金が要るという友人・九平次から3日限りの約束でその金を貸してしまった。

と、徳兵衛が語り終えたところに九平次が登場。同時に、お初は喧嘩に巻き込まれるのを恐れた客によって表に連れ出される。

徳兵衛は、九平次に返済を迫る。が、九平次は証文まであるものを「借金などは知らぬ」と逆に徳兵衛を公衆の面前で詐欺師呼ばわりしたうえ散々に殴りつけ、面目を失わせる。兄弟と呼べるほどに信じていた男の手酷い裏切りであったが、結納金の横領がないことを、死んで身の潔白を証明する以外の手段を徳兵衛は最早思いつかなかった。そこで、徳兵衛は覚悟を決め、日も暮れてのち密かにお初のもとを訪れる。

お初は、他の人に見つかっては大変と徳兵衛を縁の下に隠す。そこへ九平次が客としてお初のもとを訪れるが、お初に素気無くされ徳兵衛の悪口をいいつつ帰る。徳兵衛は縁の下で九平次がお初にしたり顔で語る騙し取った金の話に怒りに身を震わせつつ、縁の下から出てきた時にお初に死ぬ覚悟を伝える。やがて真夜中。お初と徳兵衛は手を取り合い、曽根崎の露天神の森、冥途への旅の始まりとなるところへ、あたりに気取られないよう道を行く(道行文)。互いを連理の松の木に縛り覚悟を確かめ合うが、最期に及んで徳兵衛は愛するお初の命をわが手で奪うことに躊躇する。それをお初は「はやく、はやく」と励まして、遂に短刀でお初の命を奪い、終に返す刃で自らも命を絶った。

かくして現世で悲恋に満ちた最期をとげた二人の死を、「未来成仏うたがひなき恋の手本となりにけり」と来世でのかたい契りとして結末と成る。

なお、歌舞伎では徳兵衛の叔父が帰らない徳兵衛を探して天満屋を尋ねてくる場面と、お初と徳兵衛が天満屋を抜け出した後に油屋の手代が天満屋を訪れ、それによって九平次が徳兵衛の金をだまし取ったことが露見する場面が追加されている。

===== あらすじ おわり
Wikipedia  『曽根崎心中』

 

次回は、

エミリー・ブロンテ『嵐が丘』、宮沢賢治『オツベルと象』

921日(水)22:00-23:00 放送】 BS朝日

BS朝日「あらすじ名作劇場」トップページ
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