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2021年4月18日日曜日

(2306)  渋沢栄一『論語と算盤』(3-2) / 100分de名著

 

◆ 最新投稿情報

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http://kagayakiken.blogspot.com/2021/04/k1447.html

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実業に手を染める最初の動機は、個人の「利益」、つまり儲けたいという気持ちなのです。ただし、そこで終わらせず、人々の活動を最終的に「公益」へと押し広げていく仕組みとして「合本」が考案された

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第3回  19日放送/ 21日再放送

  タイトル: 「合本主義」というヴィジョン

 

【テキストの項目】

(1)   資本主義とは何が違うのか

(2)   ビジネスは社会を豊かにする手段

(3)  「公益に資する経済活動」とは

(4)   百年後によみがえった渋沢の思想

 

(5)   封建体制への反発

(6)   武士の精神に学べ

(7)   異文化と接するときの心構え

(8)   立場によって変わる「公益」

(9)   争いの是非

 

(10) 元祖・社会起業家

(11) 社会事業で公益を追求

(12) 渋沢栄一と岩崎弥太郎

(13) 公益のために「適材適所」を

(14) 無私を貫いた渋沢栄一

 

【展開】

(1)   資本主義とは何が違うのか

(2)   ビジネスは社会を豊かにする手段

(3)  「公益に資する経済活動」とは

(4)   百年後によみがえった渋沢の思想

 以上は、既に書きました。

 

(5)   封建体制への反発

 渋沢が世の中の矛盾を一番感じたのは幕藩体制社会なのです。領主のところに権力が集まり、財が集まっても、領地・領民や世の中全体が潤っていることにはならない、というのが渋沢の発想なんです。我々が一生懸命汗水流して積み重ねてきたものを「御用金だ」といって搾取されて、簡単に持っていかれる。こういう話はおかしいじゃないかと。

 むしろ領民に富が行き渡るような形を領主側が考えるのが、本当の良い領地支配ではないのか――渋沢栄一の考え方として、『論語と算盤』もそうですし、「合本」という考え方も、一つの事業をするに当たっては、みんなの力を寄せ集めていく。金融資本だけではなく、人の力も寄せ集める。そうすることで事業が、みんなのものになるという意識を持っています。

 

(6)   武士の精神に学べ

 渋沢は、『論語』や四書五経の思想に基づく「無私の為政者」としての武士には、憧れを抱いていました。そして、そうした理想的な武士の在り方は、商工業者の手本になると指摘します。

『武士道は、学者や武士といった立場の人だけのものではない。文明国における商工業者の立つべき道も含まれているものなのだ。

 いまや武士道はいい換えて、実業道とするのがよい。日本人はあくまで、ヤマト魂の生まれ変わりである武士道で世に立っていかなければならない。商業であれ工業であれ、この心を自分の心とするならば、戦争において日本が常に世界で優位な地位を占めているように、商工業においてもまた、世界においてその実行力を競うことになっていくだろう。』

 

(7)   異文化と接するときの心構え

 ただし、武士道や儒教的精神を強調することは、文化の異なる他国との貿易では、かえって対立を生んでしまう場合があります。五度にわたる渡欧や渡米経験を持つ渋沢はそのことにも気付き、こう注意を促しています。

『日本人は、君主に忠実で、国を愛する気持ちに富んだ国民として称賛されている。その一方で、個人の間での約束を尊重しないという批判を受けてもいる。要するにその国独自の習慣がそうさせているのだ。つまり日本と西洋とでは、重要だと考えているものが違っている。』

 ここには渋沢の非常に優れたバランス感覚が示されています。

 

(8)   立場によって変わる「公益」

 たとえば、一人の従業員にとっての利益と、会社全体にとっての利益を対比させた場合、従業員の利益は私利であり、会社の利益は公益になります。しかし会社にとっての利益と、社会にとっての利益を対比させると、今度は会社の利益が私利になり、社会の利益が公益に変わるわけです。

 この典型が公害問題です。会社が有害物質を無害化するコストを払おうとせず、廃水をそのまま川に流して、会社の利益が増えたとします。その企業の従業員にとつては、「会社全体という公益に資する行為」だと言えるかもしれません。しかし、社会の側から見れば、「会社の私利のために公益を害する行為」にほかなりません。

 

(9)   争いの是非

 渋沢は、争いを肯定的に考えていました。

『国家が健全な発達を遂げていくためには、商工業においても、学術や芸術、工芸においても、また外交においても、常に外国と争って必ずこれに勝って見せるという意気込みがなければならない。国家ばかりではない、一個人においても、常に周囲に敵があってこれに苦しめられ、その敵と争って必ず勝って見せる気概がなくては、決して成長も進歩もない。』

『… これに反し、後輩をガミガミと責めて、常に後輩の揚げ足を取ってやろう、やろうという気持ちの先輩が上にあれば、その下にある後輩は、一瞬も油断できず、一挙一動にもスキを作らないようにと心がけるようになる。』

 

 以下は、後に書きます。

(10) 元祖・社会起業家

(11) 社会事業で公益を追求

(12) 渋沢栄一と岩崎弥太郎

(13) 公益のために「適材適所」を

(14) 無私を貫いた渋沢栄一

 

<出典>

守屋淳(2021/4)、渋沢栄一『論語と算盤』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)



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